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ご機嫌な侑李と別れて家に帰った。


ママの写真に向かって話す。





「俺もぶん殴られたよな…


娘はお前にやらん。って、ははっ。



今になってようやく分かるよ。

ママのお父さんの気持ち。」


ずっと前の話。


ママにプロポーズしていよいよ結婚の挨拶に行かせてもらった時。

玄関で手土産を渡す前に殴られたんだ。

すっげぇ痛くてさ、これは許して貰えないかもって本気で焦った。

何とか家にはあがらせて貰ったんだけど、その後も話を聞いてくれるのはお母さんだけ。

お父さんは知らんぷりで新聞ばっか読んでて。

その日は無理だって分かったからそこから毎週のようにママの実家に通ったっけ。

何回目かな、

しつけぇなうるさいから話だけは聞いてやる。

その言葉をお父さんからもらった時は涙が出るほど嬉しかった。

ふふっ、まだその時点では結婚を許してもらってる訳じゃないのにね。

その日もまだお許しが貰えなくて。

でもきっともうひと押しだ。って次の作戦を立ててた時にお父さんから電話がかかってきて、

明日、来い。

それだけだよ?超ビビったけど、意を決して行ってみるとお父さんはベロベロに酔っててさ。

俺が玄関に入った瞬間に

お前には負けた、娘をよろしくな。

って。言ってもらったんだ。

恥ずかしいけど泣いた。嬉しくて止まらなかった。





「俺あの時思ったんだよね。

諦めないでほんとに良かったー、って。

あれだけ強く思った日は今考えてもあの時だけだよ。
あの時頑張ってくれた俺がいたから今の俺があって、今のあやがいて。

こんなに大切なものが沢山増えた。


ねぇ、ママ?

あやにもこんな幸せな気持ちを知って欲しいね。」

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作者名:とあ | 作成日時:2020年3月29日 0時

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