My Special HERO !! 【東海オンエア】

＃27 帰ってくる ページ28

普通科の人達がいる棟に行ったのは2年生になってすぐのことだから、懐かしさすらある。

としみつくんは5組らしくて、ここを曲がればすぐのはず。

職員室が近くて大変そうだなあっていらない心配をしながら、角を曲がる。

教室の中を覗こうと思ったけど、誰かいたらただの不審者だしウロウロする。

勇気を出して、ドアの窓から中を覗くとひとりだけ窓側の席の人が残って何かをしている。

それが誰かはすぐに分かった。

私が探してた人だ。


｢失礼します...｣


ちらっとこちらをみたその男の人は、はぁとため息をついてまたすぐ机の上の紙に目を落とした。

そのため息の意味は私には分からないけれど、としみつくんを怒らせたなら謝らなきゃいけない。


｢としみつくん｣

｢んだよ｣

｢ごめんね｣

｢なんで謝んのこんなとこまできて｣

｢としみつくんを怒らせてしまったので｣

｢怒ってないよ、自分が嫌になったから逃げただけ｣


｢自分で蒔いた種なのにね｣って苦笑いしてるとしみつくんにかけてあげられる言葉がない。


｢私、としみつくんが嫌で見れなかったわけじゃないよ？｣

｢え？そうなん？｣


ちょっと嬉しそうな顔をして、としみつくんが｢まあ座れば｣って自分の前の席の椅子を引き出す。


｢うん、それが...意識しちゃって...こっ...告白とか初めてで｣

｢告白とかはっきり言われると照れるわ｣

｢告白でしょ？｣

｢告白だけどさ笑｣


この人私のこと好きなんだな、って思っちゃうことがもう恥ずかしい。

事実なんだけど、そう思って浮かれちゃう自分が恥ずかしい。

そんなことを考えてることを知ったらとしみつくんはどう思うんだろ、って考えるだけで目が合わせられない。


｢じゃあ、嫌われてない？俺？｣

｢もちろん！嫌われてないよ？｣

｢じゃあ、一緒に体育委員できる？｣

｢もちろん！できるよ？｣

｢よかった...｣


少し泣きそうな顔のとしみつくんは、下手くそに笑った。

そんなに私と委員会が出来るのが嬉しいのかな？
可愛すぎるじゃん。


｢嫌われたかと思ったよ...さすがに早すぎたかなって｣

｢まあ...早すぎではあるけど...ね？｣

｢またチャレンジするからさ！！｣


今の今まで真っ暗な雰囲気だったことを忘れてしまいそうなくらい、いつものとしみつくんが帰ってきた。

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