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｢はぁ...。｣
｢伊野ちゃん? 溜息なんて吐いて如何したの?｣
｢ほぇ?｣
｢あ、分かった。
コウタがいないからでしょう。｣
そう言って八乙女さんはニヤニヤ笑った。
薮さんがいない。それは思った以上に俺悩ませている...らしい。
えぇ...、俺、そんなに薮さんの事好きだったのかな。
イヤ、好きなのに変わりはないんだけどさ。
けどさぁ...うん、寂しい。
だって、俺、薮さんの事好きなんだもん。
いつからかは分かんないけどさ。
でも出逢った時から、惚れてたんだと思う。
綺麗な顔だなって、最初から思ってたから。
俺みたいな女顔じゃなくて。男でも見惚れる格好良い顔。
少なくとも、彼が今一緒にいる鷹山様よりは彼を知っているし、溺れていると思う。
表の格好良い顔も、裏の意地悪な顔も。
｢ね〜、伊野ちゃん? コウタの事、好き?｣
｢...、分かっているのでしょう?｣
｢ふふ、まぁね。｣
｢八乙女さんも意地が悪い...。｣
俺の言葉なんて気にもせずに｢あ、指名入ってる。｣と言い御客様の座っている席に座った。
八乙女さんに稼いでもらわなくちゃ。
薮さんがいない3日間程度の間を八乙女さんに繋いでもらわないと。
｢チーフ、少し御時間宜しいですか。｣
｢うん、移動しようか。｣
黒服の1人で或る岡本が俺を呼んだ。
岡本は力仕事に関して抜群に弱いウチの店の貴重な力持ち。
...まあ、筋肉が凄いからキャスト達に『ゴリラ』と呼ばれる事も或るけどね。
店の裏に行き岡本の方を振り向き｢で、用事って?｣と問い掛けた。
｢実は薮さんを引き抜きたいという方がいらっしゃっていて...。｣
｢...、は?｣
薮さんを、引き抜く? 何処の店が? そう思い、引き抜きに来た人を通しているという部屋に入った。
｢っ...、とっつー...。｣
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作者名：ぽむぽむ x他2人 | 作成日時：2019年4月18日 0時
