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"俺が伊野尾に優しくする事はねぇぞ。"
"肩幅の広い男なんざ好きになるわけねぇ。"
彼の言葉が俺の脳内を駆け巡る。
薮さんと違って俺はどちらかと言ったら同性の方が好きで。薮さんは俺の好みどストライクなんだ。
そんな人にあそこまでキッパリと拒否されると流石に傷付くなぁ...。
わかってた事でも、傷付く事は傷付くんだよね。
｢諦めなきゃ、駄目なのかなぁ...。｣
｢何を諦めるの?｣
｢おわっ、、って、八乙女さん。｣
｢その堅苦しい呼び方辞めよーよ、伊野ちゃん。
コウタ、今ヘアセットしてるから来ないしさ。｣
八乙女さんが『コウタ』と呼んだ時、胸の奥の奥が軋んだような気がした。
羨ましいな、薮さんの傍にいても見劣りしない処か、お似合いな八乙女さんが。
俺みたいにぷにぷにしてなくて、細く引き締まった体に綺麗な二重、高い鼻に笑った時に見える可愛い八重歯。
俺が持ってないものを、持っている八乙女さんが羨ましい。
薮さんから下の名前で呼ばれてる事も、
薮さんの家に出入り出来る事も、
薮さんから信用されてる事も、
全部全部、羨ましい。
俺がもっと綺麗だったら、薮さんの傍にいれたのかな。
｢ね、伊野ちゃん? 俺とコウタが恋人になるのは有り得ないからね?｣
｢ほぇ?｣
｢あんなズボラで横暴で不器用な奴、俺はやだもん。｣
｢...そう、なんですか...。｣
｢俺ね、伊野ちゃんに幸せになって欲しいの。
だから、俺が出来る最大限のサポート、させてもらうね?｣
｢サポート?｣
｢そう。伊野ちゃんがコウタと付き合えるように。
サポートするの。｣
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作者名：ぽむぽむ x他2人 | 作成日時：2019年4月18日 0時
