クッキー #1-3 ページ6
｢あー、あんたほんまにパティシエなんか？｣
｢はい、勿論。｣
男性の単純な問いかけに対し、Aはさらりと返答する。こればかりは事実であるし、なぜ疑われているのか不思議で仕方が無かった。
グルッペンが今日パティシエ来る言うとったな…なんて小さな呟きは聞こえないふりをした。
｢さっきはほんますまんかった。俺はゾムや。我々国の幹部で特攻隊長やっとるで。｣
そう言って、先程までナイフが握られていた右手を差し出してきた。指先だけが露出するような黒いグローブを付けても尚、男性特有のゴツゴツとした感じが見て取れた。
その差し出された右手が握手を意味するのだと理解したAは、慌てて右手と左手で男性＿ゾムの右手を包み握り返した。
｢Aと申します。これから宜しくお願い致します。｣
｢Aな、覚えたで。とりあえず城の中に入ろか。｣
ゾムの導きの元、門の中へと歩みを進める。否、進めようとした。
＿＿＿ぐるるるる
どこからか、地響きのような低い音が鳴った。
｢…え？｣
驚きの声をあげたA。とは裏腹に、徐々に顔を朱に染めていくゾム。
そう、音の正体とは、ゾムのお腹の中の虫だった。
余程お腹が空いているのか、その後も鳴り続けている。うっと声をあげ、ゾムは羞恥に耐えていた。
｢あの、ゾム様…。もし宜しければこれ、お食べになりますか？｣
Aが差し出したのはクッキー。素朴な、何の変哲もないバタークッキーなのだが、今のゾムには神から与えられた特別な食べ物にしか見えなかった。
｢良いんかッ！？｣
朱さが残る顔をバッとこちらに向け、キラキラとした瞳でAを見つめる。
｢勿論ですよ。｣
｢よっしゃ！ありがとな、A！！｣
袋をビリッと無造作に開き、中のクッキーに貪りついた。その姿は小学生にしか見えなくて、つい先程までのゾムに対しての怖い、という印象が一瞬にして消え去った。
｢(お土産としてクッキー焼いてきて良かったな。)｣
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とあ(プロフ) - ルナさん» 褒めていただけてとても嬉しいです！これからもこの小説読んでお腹すかせて下さい笑 (2017年10月2日 8時) (
レス) id: 128c51a6b1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ↓ラグリすぎ正しくはリアル過ぎてお腹すいてくる (2017年9月20日 22時) (レス) id: 8638a0fc39 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - やばい凄いリアル過ぎておす好いてくる。君のせいで幻匂がするじゃないか(誉め言葉) (2017年9月20日 22時) (レス) id: 8638a0fc39 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いなりさん» ありがとうございますー！ぜひともケーキをお供にしてはいかがでしょうか？笑。同士ですか！嬉しいです！！これからも頑張りますので宜しくお願いします！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: 128c51a6b1 (このIDを非表示/違反報告)
いなり - 誤字です;ケークではなくケーキです！連続失礼しましたー (2017年9月3日 19時) (レス) id: 67ffebb8dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とあ | 作成日時：2017年7月21日 21時
