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家に帰ると、案の定母に叱られた。
「ずっと外にいて!心配したでしょう!?それに怪我までしているなんて…」
ひとしきり怒った母は、私をぎゅっと抱きしめた。
ふわりと優しい匂いが鼻につき、胸がきゅっと苦しくなる。
「お願いだから、自分を大事にしてちょうだい」
母の言葉に、じんわりと涙が溢れ出た。
ごめんなさい、と呟いて、母の着物を握りしめる。
沢山心配をかけてしまった。
折角母が生きているのに、また苦労をかけてしまった。
ごめんなさい、お母さん。
ごめんなさい、ごめんなさい…
でもこれだけは止められないんです。
これだけは、成し遂げなきゃいけないんです。
「お母さん、大事なお話があるの」
「何?」
涙を拭い、母を見つめる。
「私、鬼殺隊って組織に入りたい」
「きさつ…たい?」
私は母に、鬼殺隊について、鬼についてを話した。
信じてもらえるかはわからないけど、とにかく一生懸命話した。
許して貰えないと思ったけど、それでも鬼殺隊に入りたいことを伝えた。
「お願い、お母さん。私が鬼殺隊士になるのを許して」
母はしばらく黙り込んで、何かを考えているようだった。
とても怖い顔で。
緊張しながら母の表情を伺っていると、母はようやく口を開いた。
「いいわ…ただし」
ゴクリ、と生唾を呑み込んで、続く言葉を待つ。
「必ず、生きて帰ってきなさい」
『必ず、生きて帰ってきて』
母の言葉が、かつて杏寿郎に言った言葉と重なった。
あぁ、杏寿郎はこんな気持ちだったのか。
「勿論です。必ず生きて帰ります」
『あぁ、必ず生きて帰ろう!』
私は今日から、"こちら側"だ。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時