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十歳の自分に戻った私は、母にバレないように鬼殺隊士を探していた。
鬼殺隊に入隊するためには当然だが実力が必要だ。
そしてその実力を付けるためにも、まずは"育手"を見つけなければならない。
しかし私は育手が誰なのかも居場所すら知らない。
知っているとするならば、お義父さんのみ。
だからといって彼に弟子にして貰う訳にもいかなかった。
「すみません、鬼殺隊を知っていますか?」
「きさつたい?なんだいそりゃ」
「ごめんなさい、人違いでした」
何度も何度もそんなやり取りを繰り返し、何も収穫がないまま家に帰る。
家では、体力をつけるために、杏寿郎がしていた鍛錬を思い出しながら、それを真似することしか出来なかった。効果を得た実感も湧かず、無力な自分に歯がゆい思いを抱える。
そんな日々を過ごしている内に、あっという間に一ヶ月が過ぎた。
その日も鬼殺隊士の情報を得ることが出来ず、私は家へ帰ろうとしていた。しかし、後ろから突然大きな気配を感じ足を踏みとどめる。
「おい、そこの小娘」
「あなたは…!」
肩を掴まれて後ろを振り向くと、そこには鬼殺隊の隊服を身につけた男が立っていた。
ようやく見つけた!鬼殺隊士!
しかも、杏寿郎の気配に限りなく近い。もはや彼よりも強いのではないだろうか。
この機会を逃してはならない。絶対に。
はやる気持ちを抑えながら、前のめりになって口を開く。
「あの!」
「お前か、鬼殺隊士を知っているかとそこらじゅうに聞き回っている面倒な小娘は」
継子にしてくれませんか、という言葉は彼の言葉によってスッと消えて行く。
そしてその男の言葉に思わず息を呑んだ。
そうだ、鬼殺隊は政府非公認の組織。
あまりその存在を広めたら、もしかしたら_____
いや、そうだとしても。
「勝手に鬼殺隊のことを口にしてしまい申し訳ありません。しかし私は鬼殺隊に入隊したいのです」
しっかりと男を見据えてそう言った。
男は驚いたように目を見開くと、今度は口の端を持ち上げて不敵に笑う。
時の流れが酷く遅いような気がしてならない。緊張で強ばった身体からは汗すらも出てこなかった。
しかし、期待は良い方に裏切られたようで。
「面倒だか気に入った。今日からお前を弟子にしてやろう」
「ありがとうございます!!」
彼の言葉に、私は勢い良く頭を下げた。
_________ここから、死ぬほど辛い稽古が始まるとも知らずに。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時