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ようやく神社の本堂の前に戻ってきた。
腹部を抑えながら、急いで二人の元へ向かう。
「遅くなってごめんね」
無事な二人を見てひとまず息をつき、声をかける。
何故かソワソワとしていた二人は、私を見るなり目を丸くしてこちらへ駆け寄ってきた。
「おい!血出てんじゃねぇか!」
「ほんとだ!大丈夫かよ!」
私の頬や腹を指さし、眉を下げる二人。
「大丈夫。ありがとう」
そう言って二人の頭を撫でた。
良かった、この子たちを守れて。
…でも、まだ終わったわけじゃない。
「二人とも、絶対に私から離れないでね」
「おい!どこいくんだよ!」
「村の方じゃねぇぞ!」
そう。
私が向かっているのは隣の集落だ。
今村に戻れば、師匠が鬼と戦っている。
この子たちを連れて帰るのは危険だ。
森をぬけた後、集落の中の藤の花の家紋の家を指さした。
事前に場所を調べておいて良かった。
「今夜は村には戻らない。あの家にいさせてもらうのよ」
「は?意味わかんねぇ」
「ちゃんと説明しろ!」
「…ごめん、今は無理」
鬼、と言っても信じられないだろう。
実際に見たことがないのだから。
「私は急いで行かなきゃいけない所があるの。お願いだから、ここにいて」
二人の肩に手を置いてそう言えば、流石になにかを感じとったらしく彼らは小さく頷いた。
「後でしっかり説明してもらうからな!」
「俺たちを家まで送り届けろよ!」
そう叫ぶ二人に手を振ってから、村へと走り出す。
鬼の気配を、ここにいても感じる。
「師匠…」
今、行きますから。
あなたと共に戦うから。
腹の傷の痛みなど感じない程に、私は焦っていた。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時