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千佳子と共に、森の中を駆ける。
あの一件以来彼女は鬼を怖がっているが、私と離れるのは嫌だと渋々着いてきてくれていた。
「もう少しで来るよ」
「え、もう!?」
後ろで千佳子が叫んだ瞬間、目の前に鬼が姿を現した。
長い髪を引きずった、女の鬼だ。
「喰ってやる…」
「雪の呼吸 壱ノ型、雪結晶」
直ぐに地面を蹴り、鬼に刀を振るう。
しかし、私の攻撃は軽々と躱されてしまった。
体勢を立て直し再び刀を振り下ろす。
「あの人を…待たないと…」
髪の隙間から、女の瞳が見えた。
「涙…?」
私が目を見開いた時には、女の頸は地面に転がっていた。
見間違いではない。
確かに、女は涙を流していた。
「私の夫なの…待たないと、待たないと…」
女は最後にそう呟くと、ボロボロと崩れ落ちていった。
後ろで千佳子が、不思議そうな声を漏らす。
「誰を待ってたんだろう」
夫…
「…きっと、大切な人だよ」
気が付けば、そんな言葉が口をついていた。
この鬼も、元は人間だったんだ。
私と何も変わらない、愛する夫の帰りを待つ人間だった。
鬼にならなければ、今も_____
「A、行こう」
「…うん」
地面には、女の涙の染みが残っていた。
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時