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岩を押しながら、師匠に稽古を付けてもらう日々を過ごし、早くも一年半が過ぎた。
毎日素振り五千回と腹筋腕立てを二千回ずつはかなり辛くって。
その他にも沢山やらなければならない鍛錬があり、毎回毎回死ぬかと思った。
「終っ、た」
そしてようやく、昨日岩を押し家の周りを一周し終えることが出来たのだ。晴れて最終選別へと向かうことが出来る。
それでも何とかやり遂げられたのは、杏寿郎の記憶と師匠のおかげ。
「師匠、本当にありがとうございました」
「今日はやけに素直なんだな」
「だって、これが最後かもしれないじゃないですか」
冗談でそう言うと、師匠に思いっきり殴られる。
痛くはないけど、涙が零れた。
「必ず生きて帰ってこい…そんで、お前のこと全部教えろ。名前もな」
私の頭をわしゃわしゃと撫でながら、師匠はそう言った。
その言葉に小さく頷くと、彼は満足気に笑みを浮かべる。
「小娘卒業は、その後だ」
「師匠こそ、私に名前で呼ばれる前に寂しさで死なないで下さいね」
「あぁ、わーったよ」
刀を腰に差し、彼と色違いの羽織を着て外へ出る。
とても空が綺麗に見えた。
「じゃあ、また後で」
「おうよ」
最終選別の場所への道を歩きながら、師匠に大きく手を振った。
彼の姿が見えなくなるまで、ずっと。
「これからが本番だ」
豆だらけの手で、ぎゅっと刀の柄を握りしめた。
【第一章終了】
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みーた(プロフ) - 麗羽さん» 泣かないでぇ(´;ω;`) (2019年10月12日 21時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
麗羽(プロフ) - 普通に泣きました……( ;∀;) (2019年10月12日 13時) (レス) id: 835b4d5769 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - みーたさん» ありがとうございます! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 483e5f8c50 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - ちぃさん» 申し訳ございませんでした!すぐにルビをふってまいりますので少々お待ちください! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年10月11日 22時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年9月29日 20時