訳あり人 1 ページ3
「………今、なんて?」
_え、今こいつなんて言った?俺のこと”だれ”って。冗談だよな?
困惑して硬直するレオに、女子高校生は目を瞬かせてからそっと立ち上がる。
見れば、所々荒れていて寒い着こなしだ。
肌も荒れ、髪はぐちゃぐちゃ…。到底、今どきの女子高校生がしている清楚感とは程遠い。
『……まぁ、いいや』
_よくないだろ。
ぐっと、喉元に出かけた言葉を押しとどめる。
正直な所、自他ともに認める世間中に話題のユニットだ。月永レオという名は簡単に世界中に知られている。
それを知らない、だなんて言うものは少数だろう。
その少数に、目の前の少女は属していた
「……なぁ、お前はなんでこんなところにいるんだ?」
まずは、知りたかった事を尋ねる。
こんな深夜に女子高校生が、公園で1人だなんて。訳ありなのは見え見えだ。
にこり、と得意の営業スマイルを貼り付ける。
彼女は、それを見ていった。
『…胡散臭いなぁ。そういうの』
「…はぁ?」
『お兄さん、疲れてるのバレバレ。そんな状態で笑っても引き攣ってるよ。』
「っ…、」
図星を突かれ、思わず後ずさる。
とてつもない人間観察だ。今まで全然バレない嘘笑いを他人が一目で分かった人物などいない。
冷や汗をかきながら、「……俺のことはいいんだよ、質問に答えろ」と少々荒々しく尋ねる。
『あ〜…』
くるくる、と彼女は自分の乱れた髪を弄りながら言う。
『…家出?ってやつ?……まぁ実家めちゃくちゃ遠いとこにあるし家もないし金もないから泊めてくれる所点々としてんの』
『あ、代償は身体で。私これでも身体だけは取り柄なんだよ〜』
ケラケラと、可笑しく笑う少女
やけに、この言葉が胸に浸透して覆い尽くす。
頭をフル回転させた。
つまり、彼女は帰る宛てが無く、夜な夜な男性を見付けては身体を売る代償に、家に泊めてもらって難を逃れてきたのだろう。
ありえない。
少なくとも、今の女子高校生がするべき青春とは程遠い
「…お前は、それでいいのかよ」
『…別に。…私は、自由に生きてるだけ。』
その伏せられた綺麗な瞳を見て、息が詰まる。…少なからず、綺麗だと思った。
顎に手を当て、レオは小さな決心をする。
_彼女の言う通り、スタイルは悪くない。
_疲れも出ていた頃だし、丁度良いだろう。
「…じゃあ俺が買う」
『まいどあり〜。えへへ、楽しみだな』
暗闇の中、男女が腕を組んで歩いた。
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か - 面白 (2020年2月6日 13時) (レス) id: 09898d8fcd (このIDを非表示/違反報告)
人形師(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります「タバコを吸った。女子高生を拾った」って言うタイトルの小説あるんですかとても気になります!にた名前の「ヒゲを剃る。そして女子高生を拾う」って言うタイトルの小説なら読んだことあるのでその小説がとても気になりました! (2019年11月12日 12時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2019年11月10日 16時