第16話 ページ16
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「脈に異常はありません」
信の脈を図り嬴政様にそう伝えると、「心身の疲労が限界に達したようだ」と呟く。
嬴政様の話によると、それは無理の無いことらしい。
「嬴政様、いかがなさいますか」
「出発する」
静かに息を着いてから立ち上がった嬴政様に、「御意」と返事をして私も立ち上がる。
「えぇ?まだ無理だよ!しばらくコイツ休ませないと!」
そんな私達を見上げて眉を寄せる河了貂に、「そのような暇はない」と答える。
「何!?信を置いていく気か!」
「私が担いで行けば良いだけの話だ」
尚も反論しようとする河了貂に呆れながらそう言うと、私は信を背負い嬴政様の後を追った。
「女なのによくもまぁ軽々とこいつのこと背負えるな」
目を丸くしながら私の顔を覗き込む河了貂に、「女だから何だ、関係ないだろう」と答える。
女だから女だからと喧しい奴だ。
「大丈夫か、A」
先を進む嬴政様がこちらを振り返られた。
「嬴政様、お心遣い感謝致します。どうかお気になさらずに」
護衛である私に対しても気遣いをしてくださる嬴政様に頭を下げる。
私はやはりまだまだ未熟だ。
「ずっと思ってたけど、お前変なやつだな」
そんな私に不審そうな視線を向ける河了貂。
お前に言われたくはない、と口を開きかけた時だった。
「無駄口を叩くな」
「申し訳ありません嬴政様!」
嬴政様のお言葉に即座に頭を下げ、即座に謝罪する。
嬴政様にとんだご無礼を…私は…
「お前今喋ってねぇだろ!?」
「いいから黙れ河了貂」
何故か私に向かって叫んでくる河了貂を睨みつけた。
そんな私をチラリと見てから、「走るぞ」と嬴政様が駆け出す。
「御意!」
お前走れるのか?とでも言いたげな河了貂を視線で黙らせ、私は重い剣を抱え直すのだった。
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心(プロフ) - 初めまして★今更キングダムにハマり初見させて頂きました!更新楽しみにしています! (2022年8月11日 12時) (レス) @page17 id: 8b8beb8b4b (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年5月30日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみに待ってます! (2019年12月9日 0時) (レス) id: 7c69be82b3 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年7月11日 23時) (レス) id: d46901af11 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます!頑張ります (2019年5月14日 20時) (レス) id: 11eeccd4df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ria x他1人 | 作成日時:2019年5月5日 16時