FBIと公安に愛される私 Part3 (ページ12)

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～A～

人の気まづさを心配してる場合じゃなかった

私も、とてもすごくひじょーに気まづい！！

しかもこの車、家に向かってない

割に無言なんだよね

お父さんは家族のことなんか見てないのかと思ってた

私の拓真に対する態度を……見てたんだ

それとも単に私がわかりやすかっただけ？

いつも通り、変わらなく接するように心掛けてはいた

無理だったけど

そんな些細な過去(こと)を思い出すと、お父さんはちゃんと父親で在ろうとしてくれていたのだと実感する

家にいてくれない人を親として認めない私の考えを見抜いていたのに

どうしてお父さんはあんなにも仕事人間だったのだろうか

家族を愛してくれているならもっと時間を割いて欲しかった

赤井｢どうしてあの執事を男として意識するようになった」

赤信号で止まってじっと見てくる

｢それは……」

目を逸らすと不機嫌……ではないけど、小さくため息をついてまた前を見た

赤井｢矢河氏が言った13年前か？」

｢……」

赤井｢何があったんだ。あの男は本当に信用できるのか」

問わ(聞か)れれば問わ(聞か)れるほど私は口を閉じた

信用は……できる

できるけど………

｢すば…赤井さんは拓真のこと嫌いなんですか」

赤井｢そうだな。俺の知らないAを知っているという点では嫌いだ」

｢そういうことじゃなくて……」

赤井｢人としてのあの執事を好きか嫌いかで分けるには、俺は何も知らなさすぎるからな」

｢知ったらもっと嫌いになりますよ」

赤井｢なんだ。話してくれるのか」

｢話せることだけは、ですけど」

赤井｢それでも構わない」

車のスピードが落ちた

ゆっくりとただ真っ直ぐ走っていく

人に拓真のことを話すのは初めてだ

私が産まれる前から拓真はいた

でも誰も拓真の過去を知らない

私が物事ついた頃から拓真はお金に執着していた

目に見えて他人に蔑まれるのも気にしないで

仕事は完璧にこなせる真面目だった

一つ命令を受ければ十のことをこなすぐらい

拓真は……私なんか見ていなかった

それなのにあんな……

赤井｢金のためだけにAに仕えているわけか」

｢私っていうか……矢河(いえ)です」

それから赤井さんはずっと無言だった

拓真のことを考えてくれてるのかな

チラッと横顔を覗き見ると何とも言えない表情にドキッとした