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〜安室〜
風見の電話を受けて、ショッピングモールに来たのはいいが、Aさんが立っていた
………いや!これはもうアウトだろ!色々と!!
風見の占い怖いな!!
何をどうすれば毎回、こんなドンピシャでAさんに関われるんだ!!?
「零さん?偶然ですね」
安室「え、ええ。そう、ですね……」
偶然、のはずなのに、なぜかやましい想いが勝る
いたたまれない
安室「Aさんはここで何を?」
「人を待ってて」
安室「男性ですか?」
そんな質問をしてしまう自分が女々しくて嫌になる
これでは、Aさんのプライベートに口出ししているみたいだ
「そうですね。最近、仲良くしてもらってるんです。この歳で新しい友達が増えるのは嬉しいです」
厚意はあっても好意は見受けられない
心底ホッとした
その安堵が最低なものであると知りながらも胸を撫で下ろす
「あ……」
安室「どうしました」
「友人が急用が入ってしまったみたいで」
僕が来た途端に急用でいなくなるって、随分とタイミングが良い
その友人ってまさか風見だったりするのか
だとしたら今までのことに説明がつく
Aさん本人からの情報なら、外すこともない
って、そんなわけないな
仮にそうだとしたら、風見なら絶対僕に報告をしてくれている
占い通り、きっとここが僕にとって吉だった
それだけ
安室「その方がいないと何か困ることでもあるんですか」
「そういうわけじゃないんですけど、どうしうかな」
困ったように笑うAさんは、何者かに尾けられていると話してくれた
こう人が多くては容疑者は絞り込めない
並の人間なら
建物の陰に身を潜め、こちらの様子を伺う男が2人
同じナンバープレートの黒いバンが、さっきから交差点をグルグル回っている
人気のない所だとアウトだな
簡単に連れ去られる
安室「Aさん。行きましょう」
「行くってどこに」
安室「ホテルです」
「え?」
安室「…………っ///そうじゃなくて。いえ、ですからAさんを守るために」
言葉足らずのせいでAさんに不信感を抱かせてしまった
本当にそんなつもりはなくて、力になりたかっただけなのに
安室「警察の人間を何人か配置しますので、今日のところはホテルに泊まってもらおうかと」
「そういうことですか」
安室「Aさんの都合とかは大丈夫ですか?」
「特に予定もないですし。よろしくお願いします」
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年1月30日 8時