助けてください、先生。 ページ5
「どうしたの?」
相変わらず微笑む先生が怖くなる。そんな私の考えを読み取るように、先生の表情か悲しいものに変わった。
「本当の俺はこんなのだけど、それでも俺を好きって言うの?」
バカにしたような言い方。でも表情は変わらず。何か、あったのだろうか。私は先生ほ頬に手を添えて、笑う。
「ばかですか。私は先生が好きなんですよ」
さっきキスされて怖いと思った。私の知ってる先生は優しくて、いつも笑顔で、裏なんてないと思ってた。でもそれは私が間違っていて。誰だって裏はあるのにね。今は嬉しい気持ちでいっぱいだ。これが本当の先生だというなら、私はもっと知れたことになるのだから。
「馬鹿は君でしょ」
どこか呆れたように笑う先生にムキになる。先生はそっと離れて行って、何も言わず保健室から出て行った。
「私は、入学した時から好きなんですよ、馬鹿みたいにね。」
独り言を呟くのと扉が開いて何故か頬に赤い跡ができた時アブ先生が戻ってくるのはほとんど同時だった。
「あれ、Aちゃん起きたんだ!おはよ」
「おはようございます…、って先生、それどうしたんですか」
「あー、これ…?ちょっとやられちゃった☆」
どうせ女の子を泣かせたんだろうと勝手な予想をする。アブ先生はつまらなそうに笑ったあと、自分の手当に取り掛かった。自業自得でしょ、それ。
「アブ先生、教室戻りますね」
「ん〜。………顔、合わせれるんだぁ?」
なんで、この先生は知ってるんだ。別に見てたわけじゃないでしょ。先生が近づいてくる。教室に返ろうと立っているのに、かなりの身長差があってムカつく。
「俺ね、女の子が好きなの」
「知ってます」
「もちろん、Aちゃんも例外じゃないんだよねぇ」
すとん、後ろに倒れる。目の前にはアブ先生がいて、その後ろには天井が見える。…つまるところ、押し倒された。いつも通りの先生が、怖い。ここの先生たち裏表激しすぎ。
「あっれ?もしかしてAちゃん、はじめて?」
ぶわ、と顔が赤くなるのがわかった。蹴ってやろうと足をあげようとしても、あがらない。ちらりと見てみると先生に触れられていた。ああくっそ。こんな展開望んでない。どうせなら、
「んもー!セピアさんのことは考えないで?」
耳元で言われ背筋がぞくりとする。なに、この感覚。アブ先生の顔が近づく。あれ、これ、さっきも、キスされる、そう思ったとき保健室の扉が開いた。
扉を開けたのは私のクラスの委員長だった。
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津紀(プロフ) - kako.さん» 私が何かを芽生えさせてしまった‥‥。どうなんでしょう?私はただ書きたいことを書いただけなので‥‥! (2015年8月24日 3時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
kako. - 衝撃のラスト。ゲスピアというジャンルを知り、芽生えました。こういうのを大人の魅力っていうんですかね… (2015年8月24日 3時) (レス) id: 29341e8c2b (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - 星音ありす。さん» ありがとうございます!ふっふっふ、人の気持ちはそんな簡単に変わりませんからねぇ(ゲス顔)限りなく裏表の激しいゲスを目指しました。予想を裏切れてよかったです・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2015年8月18日 0時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
星音ありす。(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の最後で予想を裏切られました。このまま平和的に結ばれて終わるのかなーと思っていたらまさかのクズピアだったとは…!でもそんなセピアさんもかっこよかったです!!( *´ー`) (2015年8月17日 22時) (レス) id: fc94b32d35 (このIDを非表示/違反報告)
津紀(プロフ) - あさぴよ。さん» あざ〜! (2015年8月17日 18時) (レス) id: 2f0b1601a1 (このIDを非表示/違反報告)
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