ポップコーンが食べたい─3 ページ9
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椅子が汚れたら、なんて。
確かに他人の家だし、男二人で住んでいる割には綺麗な方だし。
汚したらあれだな、とは俺だってそう考えると思うけど。
「……優しいんだね、『蜂』のくせに」
『蜂』というワードが嫌いなのか、さっきから名前を呼ぶ度に眉を顰めている。
風呂に入ってもらい着替えてもらうと、観念したようにソファに腰を下ろした。
「ヒリヒリしても我慢してね」
まずは頰から。
向かい合って腫れぼったくなった片側の頰に、消毒液を染み込ませたガーゼを当てる。
「痛い？」
一瞬口をはっ、と開いたものの、すぐに真一文字に結んでしまった。
「俺さ、『蜂』はもっと怖い奴かと思ってたんだよ？組長の息子だって言うし、そこら辺のヤクザみたいにチャラチャラしてんのかと思ってた」
俺の方を見ずにじっと固まっている『蜂』。
気まずいのは俺と同じか。
「でも良かった。良い人そうで。これなら護衛のし甲斐がある」
安心させようとして伝えたつもりだったのだけれど、どうやら不快感を与えてしまったようだ。
『蜂』は俯いたまま。
こうなったら、俺にはもうどうしようもない。
いっそのこと薮くんに帰ってきてほしいくらいだ。
「なんかしてほしいこととかある？誕生日パーティーだっけ？その時にさ」
少しでも距離を縮めておかなければ。
この機会を逃すつもりはない。
「……ップ、……ン」
「へ？」
その小さな声で話されると、最初のうちは不意打ち過ぎて聞き取れない。
これじゃあコミュニケーションにも一苦労する筈だ。
「ポップコーンが、食べたい」
「そ、そうなんだ。用意してもらうように頼んでおくよ。好きなの？」
「そう、じゃなくって」
イマイチ真意の掴めていない俺に痺れを切らしたのか、『蜂』は普通に俺と話してくれるようになった。
打ち解けてくれたのなら、嬉しい限りだ。
「今、食べたい」
何度、目をパチクリさせたことか。
そりゃあまだ夕方だし映画館とかに行けば売っているだろうけどね？
そこらではまず売ってないだろうなぁ。
「買ってきてよ」
「俺が？」
無言で頷く彼。
こういうところで権力振りかざしてくる奴初めて見た。←
「じゃあ、手当が終わったらね」
俺も、つくづく甘い男だと思う。
そして今気がついた。
俺ら、組を抜け出してきたのにバレたらまずくないかな？←
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます！！！まさかまさか、みるみるさん（私が勝手にそう呼んでいます。すみません）からコメントを戴く日が来ることになるとは……！騒いでいただけるなんて、感激です！早く更新します！ありがとうございます！頑張ります！ (2020年9月13日 23時) (
レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え？あら？そーなの？うわー！と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2019年6月16日 15時
