舌に噛み跡─5 ページ5
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yb「で、もう一度聞くけど、あの本はなんだったんだよ」
いつものふにゃふにゃした顔で美味しそうに料理を堪能している薮くん。
いつ見ても可愛いなぁ、ったくもう。
「あれはね……裕翔の恋人の忘れ物だよ」
yb「ブブッ!!」
「薮くん大丈夫!?詰まらせちゃった?」
yb「大丈夫じゃねぇよ!」
お茶を飲んでいた時にタイミングよく言ったもんだから、噴き出してしまったらしい。
少々刺激が強かったかな?笑
yb「ああっあいつらも、付き合ってんの?」
「うん。裕翔から聞いてない?」
yb「表向きは俺じゃないから。そんなこと話さないって」
……しかも、敵の組織だし。
「驚いたんだから。裕翔がいるのに薮くんを襲うなんてさ。見た限りでは結構ラブラブだったし」
yb「見たのかよ!?」
信じらんねぇ。あいつのどこを好きになるってんだよ。
ブツブツと山田のことについて文句を言っていたから、さらっと聞いてみたかったことを、口にしてみた。
「薮くんは、俺のどこを好きになったの?」
yb「……は、」
そのうち、みるみる顔が赤くなって、ついには蛸みたいになってしまった。
「言ってよ。俺はねぇ……」
yb「ばばばっ!!馬鹿野郎!」
「そういうところ、大好きだよ」
yb「俺はそういうところが大っ嫌いだ!」
平らげた皿を足早にキッチンへと持って行った彼。
耳まで真っ赤になっちゃってるよ。
「教えてよ」
yb「ウザい」
「俺は薮くんの好きなとこ教えたのに?」
yb「俺は聞かなかった。聞かせてとも頼んでない」
ったく、釣れないなぁ。
次の策を考えていたら、いつの間にかフードを深く被り、全身黒を纏った『君』がいた。
「もう行くの?」
yb「早い方がいいだろ」
靴を履き、俺に背を向けて立ち上がった彼。
また、『君』はそっちの世界に浸ろうとする。
「この先、二度と会えないかもしれないんだよ?」
yb「行ってきます」
俺の顔をちら、とも見ずに玄関を開けた。
yb「俺としては、ずっと隠しておきたいけどな」
「それって──」
閉まった扉に声を上げても、薮くんには伝わらない。
唖然としてその場に突っ立っていると、外から音が聞こえてきた。
そして、そっと開いた扉の向こう。
薮くんはドアの隙間から顔を出した。
yb「楽しみにしてたら、また会いたいと思ってくれるだろ?」
玄関の戸が、再び静かに閉まった。
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月16日 15時