紫陽花の瞳に後悔を【tkyb】

操られたもん勝ち─1 ページ18

ym side


「知念侑李？誰それ」



薮ちゃんが言うに、知念侑李はバイト仲間だそうで。

可愛い名前してるな、と思ったら男なんだとか。

その子は借金に悩まされていて、どうしても今月中にあと百万を返さなきゃならない、と。



「なんで俺に？」

yb「涼介なら、気に入るだろうなぁと思って」

「俺の顔がタイプなら百万くらい出してあげてもいいけど」

yb「それはどうだろ苦笑」



可能性は低そう？

まぁタイプだったところで俺には俺の彼氏がいるわけだし。

薮ちゃんの困ったような顔からして恋人がいそうな雰囲気だ。

会ってみて判断するか。



「ていうか、本当の理由を教えてよ」

yb「教えたらお金くれないでしょ？」

「理由に因るかな」



どんな理由であれ、俺には聞く権利がある。

そう言うと、少しだけ惑った。



「教えてくれなきゃ、人に因らず出しはしない。それでもいいの？」

yb「っ……。……でもなぁ」



そこまでして渋る理由がどこにある。


、、もしかして俺の生活に関わる話？



yb「ごめん涼介。涼介はきっと、自分を苦しめることになるから」

「はあ？」



俺の為ってか。

薮ちゃんが俺の為に、理由を話さない？

益々、分からない。



yb「ってことで。明日」



駅前で待ち合わせ、なんて言い残し、反対方向に向かっていった。









「ってことがあったの！」

yt「で、なんでそれを俺に言うの？やま」

「だって！……気になる、じゃん？」



裕翔に相談すると、当然のように冷めた返事が帰ってきた。

恋人の言いたいことくらい分かれっつーの！！



yt「でもまぁ、その薮くん？も意味深(いみしん)さが増したね」

「でしょでしょ！？」

yt「……それはそうと、」



無視すんな！



yt「涼介が繋がってる、日下杜組の人って誰だろうね」

「そっちもあった……」

yt「一応俺だって話くらいちゃんと聞いてるんだから」



カウンターから出て俺の隣に座り、店員の雄也に声をかけた。



yt「なんか新作作ってよ」

tk「え、新作？」

yt「うん。あとやまの相談にも乗ってあげて」



ええっ、なんて慌ててる雄也。

見た目とのギャップがいいよね、この人って。



tk「仕方ないなぁ。……で？相談って？」

「だからね、薮ちゃんがぁ」



さっきの話まで戻ると、明らかに困り顔の雄也が。



tk「なんか分かんないけど、大変なんだね」

「なにその他人事感」

yt「まぁまぁ」



裕翔は調べてみるよ、と席を立った。


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