舌に噛み跡─1 ページ1
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yb「なぁ高木、結局あの本なんだったんだよ」
「ん?なに本って」
yb「山田に渡せって言ってたやつ。
……まさか、こんな短期間で忘れたのかよ」
「おお、覚えてるし!あれだろ?あの、その……ははは」
yb「なんだ。高木もそろそろじいちゃんかよ。お年玉もくれないクソじじいが」
「お年玉とじじいは関係ねぇし!てかそもそも俺はじじいじゃねぇし!」
yb「どうだかな。この認知症がっ!」
「おい!それは認知症の方々に失礼だろうが」
yb「方々って……笑。高木が“方々”とかあり得ねぇ」
「こんのっ」
んまぁ、この会話を聞いてよく分かるだろうけど、仲直りはしたよ。←
ただちょっとだけ。
ほんーっのちょっとだけ、薮くんの口の悪さが悪化したってだけなんだ。
大目に見てあげるつもり。
だって仕方ないじゃん。
口膨らませて「クソじじい!」って騒いでる姿が可愛くって可愛くって。
え、キモい?……よく言われます。←
yb「高木今日はやけに元気なんだな」
「だって薮くんと久し振りにこんなに喋れたから」
yb「……ごめん。俺っ」
「いいって。けど、その反動で今夜は優しくできそうにないや」
yb「偶には俺にだってヤ らせろよ」
「俺がやって体力が余ってたらね?」
yb「信じらんねぇ……こいつ」
今日の予定を諦めてくれたところで、話を戻そう。
今夜は、というか明日の夜まで二人とも休みなんだ。
だから存分に楽しもう!っていう時間なんだけれど。
薮くんはどこか不満気だ。
「なーんでそんなに不機嫌なんですか」
yb「高木ばっかり、得してる」
「俺が?いつ?」
yb「惚けんのも程々にしろよ。あの時俺が手紙残してなかったらお前、今どんな状況だったか」
「まあまあ。いいじゃん。無事だったんだし」
薮くんが置いていった置き手紙は、偉く丁寧な言葉が使われていた。
そんなに他人行儀にしなくたっていいのに。
yb「それと。今度高木と会うことになるわ」
「えー。誤魔化すの大変なのに?」
yb「仕方ねぇじゃん。会わせたい人がいるって親父に紹介されたのがまさかの、なんだからさ」
「もうそんな時期かぁ」
yb「俺は高木に従うだけだからな」
そうかもしれないけどね?
余所余所しい内面とは裏腹に、口に出るのは悪い口調。
そんなところも好きだけれど、突然以前の様子に様変わりする瞬間が、怖い。
いつでも消えてしまえるように思えてならないんだ。
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月16日 15時