袋の鼠。みたいにして─1 ページ25
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「おい、高木!」
「凄い剣幕だけどなにかあった?」
「昨日、あの店にいただろ」
「なんの話?」
「惚けんじゃねぇよ!」
光くんが俺の胸倉を掴んだところで
まあまあ。落ち着いて。
有岡くんに引き剥がされた。
ar「なにがあった。どうしてこんな所でやり合おうとしてるわけ?」
hk「有岡さんには、関係のない話ですので」
「有岡さんがいたらできねぇのかよ」
hk「ああ。俺とお前に関わる重要な話だ」
態とらしく有岡くんに頭を下げ俺を引っ張った。
ar「あ、一つだけ。八乙女に聞きたいことがあったんだった」
俺を外に連れ出す寸でのところで有岡くんがまた引き留めた。
ar「昨日、君がある組織の次期組長と密会をしていた、という情報を相次いで耳にしたんだけど」
hk「……なんの話です」
ar「知らない?……ま、君じゃないなら良かったよ」
態々こんな公の前で口にしなくたっていいのに。
そのイライラが俺に回ってくること、気づいてるくせに。
舌打ちをして、騒々しくなった広間から俺を連れ出す。
光くん。本当になにに怒ってるわけ?
hk「昨日、あのバーで俺と会ったよな?」
「……そうだね」
hk「涼介さんと一緒に行った。それなのにお前は涼介さんにタメ口で──」
「ねぇ、」
なんか勘違いしてない?
俺が口を挟むと、光くんが今日初めて俺を見た。
「俺、白鳥では一度も涼介さんにお会いしていない。そもそも、彼は俺のことをただの従業員だと思ってる」
hk「でも、あの涼介さんだぞ!?」
「彼はここ五年近く、組の運営に一切の関わりを持っていない。最近やっと興味を持つようになったと聞いた。俺が白鳥に来たのは、三年前だろ?」
口籠った光くんも、なんか可愛くていいかも。
偶にはこうして言い返すのも楽しい。
hk「ならなんで正体を明かさない?」
「伊野尾さんのことをコソコソと嗅ぎ回ってるみたいだけど、そんなんに首は突っ込みたくないだろ?俺には他に知りたいことがあるんで」
hk「どんな?」
おっと、意外な返答が来た。
俺が知りたいことなんて、この他にはないよ。
「……そうだなぁ、、。ほら、『蜂』のこととか」
hk「『蜂』?俺らが調べるべき相手じゃないだろ」
「気づかれなければ俺が満足するだけ。それでいいだろ。別に」
hk「気づかれたら?」
「素直に言うよ。気になってたんです、ってね」
hk「告白かよ」
あ、ちょっと笑った。
良かった。これで大丈夫だ。
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月16日 15時