操られたもん勝ち─6 ページ23
ym side
「久し振り」
「お久し振りです。涼介さん」
「昔みたいに呼んでよ。光くん」
元は白鳥組の幹部で、俺の父さんに潜りとして日下杜組に送られた八乙女光。
俺が子供の時は光くんもまだ高校生くらいで、よく遊んでもらっていたものだ。
hk「無理ですよ、昔とは違います。……それに、今はもう敵同士なので」
寂しそうな目をしてはにかんだ。
こういうところ、父さんは好きだったのだと思う。
「マスク、やっぱりして来たんだ」
hk「はい。念の為」
「……そ」
光くんが今やっていることは、命懸けの行為だ。
俺の我儘の為に、命を懸けてくれている。
hk「それで、態々会いに来てまで確認するようなことって一体……」
「ここじゃなんだし、俺が信頼できる所で話したいんだけど、いい?」
hk「分かりました」
光くんはなにかを察してくれたようで、黙って着いて来た。
俺もこの日の為に念入りに道をチェックして、少しでも組の関係者に感づかれないように気を配った。
「入って入って」
まぁ、分かるとは思うけど裕翔のバーだよ。
裕翔しか頼れる奴いねぇし。安心するしさ。
hk「ここ、って……」
「別室が奥にあるから。早く行こ」
いらっしゃいませ、なんて絶対に言わない裕翔が奥を見て俺に合図してきた。
流石は裕翔。分かってるじゃん。
「光くん。日下杜組に伊野尾慧って男、いなかった?」
hk「あぁ。幹部ですね。それがどうかしました?」
「その人のこと、詳しく教えてほしくてさ」
予想通り、怪訝そうな顔をした。
んま、だろうな。
hk「なにか、トラブルでも?」
「いやぁー、別に?大学が同じだから、ちょっと気になっただけ」
hk「そう……、ですか。お答えできる範囲でしたら」
なにが知りたいんです?
催促してくるけれど、その前に。
「とりあえずなんか頼まない?ここのカクテル絶品だよ」
hk「昼から飲むんすか」
「いいじゃん。俺は頼むよ」
hk「……分かりました。俺も同じので」
俺が率先して行動すれば従ってくるのが光くんだということは、とうの昔から気付いてた。
俺は飲む気じゃなかったんだけどね。
カクテルを紹介したら俺の方が飲みたくなってきちゃったんだよ。
hk「で?なにからですか」
「まずはぁ、」
雄也が注文を確認して出て行ったのを見てから俺に向き直った光くん。
分かりやすく驚いてたけど、知り合いか?
「あいつの恋人が誰か、分かったりする?」
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月16日 15時