シャンディガフ─2 ページ28
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「なんであんな質問したの?」
裕翔はんーとね、と語尾を濁した。
その手は口をつけたグラスを緩やかに回している。
yt「お客さんにね、高木くんのこと聞かれたんだよ」
初見の人だったから、情報を貰いに来たと思ったんだけどね。
好青年とは名ばかりの、冷ややかな瞳がバーカウンターの上を見つめている。
「なんて聞かれた?」
yt「このバーに高木という人はいらっしゃいますか、って」
「……なにそれ」
不安が脳裏を駆け巡る。
もしかして。
……いや、もしかしなくても昨日の奴らだろう。
yt「嫌な予感がしたし、とりあえずいない、って帰したけどね」
「ありがと」
yt「また来るかもしれないから。僕も注意しとく」
ま、その時はお客さんにも聞いてみよっかな。
裕翔は一人呟き、目を伏せた。
彼は、千は下らない情報網を駆使して情報屋を営む“裏の管理人”でもある。
俺がそれを知ったのは、随分後になってからだった。
知ってからでは、お客さんが毎回、顔を隠したり不審な格好をしたりしているのにも頷けた。
その裕翔が調べるなら、早いうちに俺を訪れた人を割り出せるだろう。
yt「高木くんさ」
「……なに?」
yt「『蜂』って、知ってる?」
唐突すぎて話についていけなかった。
……裕翔も俺も、ろくな仕事には就いていない。
だから『蜂』を知っているのも至って普通のことだ。
でも俺が知ってるとなると、ヤクザ絡みなのかと疑われはしないか?
「……え、なに笑?」
yt「だから、『蜂』だってば」
「知ってるもなにも……
虫の、の部分を意識的に強調した。
yt「そ、っか……」
「違うんだったら……
なに、と聞いたのは、人かどうかも分からないと表すため。
こういう表現をしておけば大体の人は騙せるから。
yt「人だよ。世に言う暗殺者って奴」
「そんな奴いるんだね」
yt「ちょっと気になってるだけなんだ。高木くんが知らないなら関係ないや」
「俺が知ってると思ったの?」
yt「……そういうのに精通してそう、ってね。勘だよ、勘」
高木くんのこと、僕全然分かってないや。
裕翔は俺の作ったカクテルを飲み干すと、「ごちそうさま」と笑った。
今の忘れて、なんてさ。
裕翔が『蜂』を調べてるなんて、あまりにゾクゾクしてそれどころじゃないよ。
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柊(プロフ) - (名前)おかかおにぎりさん» すみません。出来ません。 (2021年3月7日 0時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)おかかおにぎり(プロフ) - パスワード知りたいです (2021年3月6日 17時) (レス) id: 553748be50 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» はい!お願いします (2019年8月11日 0時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - 分かりました。できるの楽しみに待ってますね! (2019年8月11日 0時) (レス) id: ee98d10428 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» コメントありがとうございます!この裏は作っている状態ではありますが、未だ納得のいっていない状態ですので、このお話が完結したら続きとして書いていこうと思っています。なのでパスをお教えできません。すみません! 今後も楽しんで読んでいただけたらと思います! (2019年8月5日 7時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月23日 14時