つまらない─4 ページ25
.
__side
「あーあ。つまんないの」
あの新入りの高木って男。
結構やるじゃん。
さっきまで痛そうに顔を歪めてたけど、弱ってるように見せて油断させてたとか?
そんな風に演技できるようにはとてもじゃないけど見えないなぁ。
「どう?高木、だっけ?」
スタスタ歩いてくるそいつ。
高木が六人相手にフルボッコにしていた場面を見ても、飄々としたまま。
……じっと、見るだけだった。
「言う通りだったよ。__の」
__は俺の隣で一部始終を撮影していた。
その映像を見返しながら、閉じることのない口を開いた。
「へー……。まぁ、俺が仕掛けたんだし。やられちゃう奴多いんだけどな」
「そっちを期待してたみたいな言い方だね」
「隠す理由もないからさ」
ヘラヘラとした笑い声を聞き流しながら、高木と下っ端の攻防に向き直る。
「どうだったの?あいつらから収穫あったから始末しなかったんでしょ」
物騒な言葉を人目も憚らず淡々と告げるその口元は、くいっ、と不気味に微笑んでいた。
「免許証は確認できたって。名前は本名で、つい一年前くらいに作成されてた」
「ふーん。それで?」
「すぐ取り返されたから他の情報は得られなかったってさ」
「つまんないねぇ」
殺しちゃえば良かったのに。
さらりと本音を晒け出すとこ、__の悪い癖だ。
「んま、もう一つだけ有力な情報ゲットしたからそれで許してやろうよ」
始末するのが面倒だったってのもあるんだけど。
「んだよ」
「高木ね、バーでしのいでるらしい」
「ほうほう」
「名刺一枚だけ拝借してきたってさ」
こういう細かいとこだけはしっかりやるのに。
強くないのが残念だ。
「……接触してみる」
「気を付けてね」
名刺をその細い指先で摘まんだまま、手を振り隣を後にした彼。
優しい表情からは想像もできないほどの苦しみが彼を呑み込んでいるとは、誰も予想できないだろう。
「……あの人数を数秒で倒すくらい強いなら、白鳥組が手離すわけないと思うけど」
俺の呟きも、その苦しみに呑まれてしまったように。
.
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - (名前)おかかおにぎりさん» すみません。出来ません。 (2021年3月7日 0時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)おかかおにぎり(プロフ) - パスワード知りたいです (2021年3月6日 17時) (レス) id: 553748be50 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» はい!お願いします (2019年8月11日 0時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - 分かりました。できるの楽しみに待ってますね! (2019年8月11日 0時) (レス) id: ee98d10428 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» コメントありがとうございます!この裏は作っている状態ではありますが、未だ納得のいっていない状態ですので、このお話が完結したら続きとして書いていこうと思っています。なのでパスをお教えできません。すみません! 今後も楽しんで読んでいただけたらと思います! (2019年8月5日 7時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊 | 作成日時:2019年6月23日 14時