つまらない─2 ページ23
.
「ここ……で、いいのかな」
正門前に立っていろ、と言われてもねぇ。
見回りなんてしなくても誰も近づかないってば、こんなお屋敷。
ていうかこの鍵、何に使うのよ。
どうでもいい文句の一つや二つを心の中で撒き散らす。
早く薮くんに会いてぇ……。
仕事中にそんなことを思うのはいけないことだな……まずこれが仕事なのかってとこなんだけど。
「はぁ……」
溜め息も吐きたくなるよ。
確かに、有岡くんみたいな幹部がここに立たされているのを見るのは違和感がある。
それを頼んできた彼も彼だけど、その彼にこの仕事を頼んだ誰かさんも誰かさんだ。
……交代とかいねぇの?
「そこの茶髪。なに溜め息吐いてんだよ」
先輩だろうか。
この組のバッチを着けたスーツを着崩し、悪びれもなく堂々と歩いてくる。
「すみません」
合わせて六人。
俺の目付きは相手からすると非常に悪いらしく、変に喧嘩を引き起こす原因になってしまう。
六人を相手に喧嘩は避けたい。
しかも組の前でなんて、目立つにも程がある。
ここは一先ず素直に謝っておくべきだろう。
「べーつに俺らに謝んなくったってなぁ?」
「この組全体に、ここの組長に失礼だって言ってんだよ」
「……すみません」
お前らの服装の方がよっぽど失礼だっての、と口にしそうなのを慌てて押さえた。
声に出してからでは遅いことなんて、百も承知だ。
「すみません、だけじゃあなぁ?」
はい。
手を差し出され、一瞬なんのことだか判断がつかなかった。
「……えっと」
「見れば分かんだろ。金だよ、金」
ほら早く。
金をせびるこいつらは、一見ただのヤンキーだ。
「金を払う意味は」
「お堅いお堅い。楽にいこうぜ」
「いや、だからっ」
腰に回された男の手が、尻を探ってくる。
強引に財布でも引ったくろうとしているのだろう。
「口止め料だよ。組長にはバラさねぇから」
「お、万札大量」
二人に腕を取られ、為す術もなく地に膝を着けた。
くそっ。こんなときに腰がいてぇなんて。
薮くんとの行為の激しさのあまり、痛みが尾を引いていた。
「素直に渡してくれれば、良かったものを」
「うっ、……」
無防備な状態で鳩尾を蹴られ、腰に負担が重くのし掛かった。
無性に腹が立った。
でもやり返したら、俺はもう……。
心の中では葛藤しながらも、手は出さず、されるがままにするしかなかった。
.
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - (名前)おかかおにぎりさん» すみません。出来ません。 (2021年3月7日 0時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)おかかおにぎり(プロフ) - パスワード知りたいです (2021年3月6日 17時) (レス) id: 553748be50 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» はい!お願いします (2019年8月11日 0時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - 分かりました。できるの楽しみに待ってますね! (2019年8月11日 0時) (レス) id: ee98d10428 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - シキさん» コメントありがとうございます!この裏は作っている状態ではありますが、未だ納得のいっていない状態ですので、このお話が完結したら続きとして書いていこうと思っています。なのでパスをお教えできません。すみません! 今後も楽しんで読んでいただけたらと思います! (2019年8月5日 7時) (レス) id: 4345af9d4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊 | 作成日時:2019年6月23日 14時