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対価 その48 ページ49

Noside

ここはクローバー王国が北端の場所。


荒れ果てた草原の中、ポツンと存在する瓦礫には、1つの墓と死者を祀る大きな石碑がある。


墓には新しい花が添えられ、石碑には、花と酒。




ユリウス「やぁ、久しぶりだね、メルシー」






墓の前にユリウスは膝を着き、亡き戦友メルシー・アルセウルへ語りかける。


そんな彼の背後には、亡き母の墓石とその背中を眺めるAが立っていた。




ユリウス「君を取り戻そうとしたけど、失敗してしまったよ。いや、そもそも僕は、間違ってしまった」

A「……」

ユリウス「君の守りたかった国を、君が愛したこの国を僕は守りたかった。


のに、ごめん。逆にこの国を危険に晒した。

君の最愛の娘を危険に晒した。




………………もう、間違わないよ。君の為にも、魔法帝としても。




メルシー、愛する君よ。どうか安らかに…」






ユリウスの頬を水が伝う。


ユリウスの言葉には、確かな覚悟があった。もう揺るがない、強い決意が存在した。


Aにはちゃんと伝わっていた。その覚悟が。




ユリウス「ふぅ。……僕は別れを告げたよ。次は、君の番だ」

A「言われなくても」







ユリウスは立ち上がり、次に墓石の前に来たのは、王家の生き残りであるA。






A「久しぶり?なのかな、母さん。まぁ私はあんまり覚えてないんだけどね。



母さん、もう王家に権限も権力も、存在価値もないよ。



だからさ、普通に生きていいかな。王家とか闇に葬られた一族とか、そんな肩書き捨てて、生きていいかな




ユリウスは………ユリウスは母さんの為に戦ったよ。だから許してあげてね(ボソッ」


ユリウス「何か言ったかい?」

A「別に」









「じゃ」と言い、Aはその場を離れる。




母に成長したその背中を見せながら、1人の人間として生きる姿を見せながら。






ユリウスもその背中を見つめ、Aと同じように歩き出した。






その時微かに風が吹き、墓に添えられたネメシアの花が舞い散る。



小さな花びらが、まるで2人の門出を祝うかのように空に咲く。









.









ネメシアの花言葉は『偽りなき心』



それは2人の魔道士の心を表しているかのようだった。



.

続編へ!!→←対価 その47



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闘乱雪(プロフ) - 感動しました!涙脆い私だけなんでしょうか?凄くウルっときたのは (2019年2月10日 12時) (レス) id: 7aa059542a (このIDを非表示/違反報告)
N.K(プロフ) - まるさん、御忠告とご注意ありがとうございます!初めて書いていてあまり理解ができていない部分があり、すみませんでした。この忠告のもと気を付けて書いていこうと思います。本当にすみませんでした。 (2018年12月30日 16時) (レス) id: c08585e31b (このIDを非表示/違反報告)
まる - ルールを理解せずに作られた違反作品が増え、占つが無法地帯だと言われる要因の一つにもなっています。ルールをちゃんと守りましょう (2018年12月30日 13時) (レス) id: c2cd8ec7e2 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご理解下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。最初に編集画面の注意事項をちゃんと読まれましたか?そこら辺をちゃんとよく読み、ルールを理解の上作品を作るようにして下さい (2018年12月30日 13時) (レス) id: c2cd8ec7e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パパゴラス3世 | 作成日時:2018年12月29日 20時

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