Affect083 止まった時間 ページ39
Aside
「Aー」
「、あー……」
目を開けると、ひらひらと手を振る出水が真上にいた。私は真っ白な訓練室の床に転がっていて、右手の方を見ると、近くに落っこちたリーパーがいた。ブレードの形の。
「この感じじゃまだまだ先は長そーだな」
太刀川隊での訓練。私はモールモッドと対峙して、斬れなくてあっさりやられたのだ。ダウンして、たった今新しい戦闘隊が構築されたところ。
「何がだめなんだろ」
私は上半身を起こして、自分の両手を見つめた。
高1の夏。私は、逃げないと決意した。ボーダーに復帰する道を選び、迅さんと一緒にたくさん訓練して、ようやくここまできた。ブレードが使えない私に、玉狛は専用トリガーを作ってくれた。おかげでトリオン兵は斬れるようになり、防衛隊員としての最低ラインには戻ってこられたのだ。
けど、またそこで私は停滞してしまった。
また立ち止まってしまっていた私を動かしたのはまた迅さんで、彼の差し金で私はここにいる。さらに先へ、完全な亜桜Aの復活へと、私はまた歩き出したのだ。
「…手、」
出水が、そう言って私の手のひらを触った。
「震えてたな」
モールモッドと戦っていた私のことを言っているのだろう。彼の眼差しには何も変わった感情は宿っておらず、ただ自分が見た光景について私に語っただけだ。私が本当に、あの頃とは違うのだと、実感しているようだった。
「……思い出すと、震えて斬れなくなるんだよね」
手が、震えるのだ。
ブレードを握れば、親友を斬ったときに握っていた形を思い出す。ザク、というあの皮膚の感触を思い出す。聴いた音を、視た真っ赤な色を、嗅いだ血の嗅いを。全部を鮮明に思い出して、震えてしまう。
あの遠征が、そんな私を作り出してしまった。
「どうやったらいいんだろ、どーーーしてもフラッシュバックする」
私は床に落ちたリーパーを掴んだ。出水の手は離れる。
そしえ私は頭をかいた。思い出さないでいられるのなら、きっと私は今でも斬れるはずなのだ。頭に浮かぶあの光景さえどうにかできれば、私は返り咲くことができる。
「けど、要は気の持ちようなんだろ？」
「え？」
「握る形が違くなったらトリオン兵は斬れるようになったじゃん、斬る感触は同じなのにさ」
出水は、リーパーのメインフォームのことを言ったのだろう。確かに、鎌の形に変えてもらえば斬れるようにはなれた。まあ、それにも多少時間はかかったけど。それに人は斬れないし。
「それと似たよーな感じでなんかいい方法ねーかなー」
んー、と出水が唸った。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
