Affect073 過去編�� ページ29
Aside
正直、バムスターは動きはそんなに早くないし、ボーダー経験のある私なら生身でも走って逃げ切れる。だから至って落ち着いている私に対して、米屋は私のことを守ろうという意思を見せてくれた。
「しゅーじー、こっち来れる？」
『すぐ向かう』
おそらくそう遠くにはいない三輪から通信で返事がきていた。
.
そしてそれは、すぐ終わる。まあ三輪隊はA級部隊だし、バムスターくらいで手こずることは無い。ああ、以前は私もこうやってネイバーを倒していたのになあ。
「亜桜、大丈夫か？」
仕事を終えた米屋がこちらに振り返って、そう問うた。その姿がなんたか眩しくて、大きく見えて、頼もしくて、安心感があって。トリガーが無い自分はこんなにも無力で、守られることしかできない弱者なのだということを思い知った。
「……大丈夫。制服に砂埃ついただけ」
「おーよかったよかった」
「お前何故警戒区域内に居るんだ、危険だろう」
「もー三輪までそれ言う？」
隊服を着た2人と、制服を着た私。トリオン体の2人と、生身の私。ネイバーと戦える2人と、ネイバーから逃げることしかできない私。どこを取っても対称的で、自分がこちら側であることにひどく違和感を覚えた。
この違和感が、答えなのかもしれない。
「当たり前だ、お前は今一般市民だろう」
「はいはいごめんなさい。助けてくれてありがと三輪隊さん」
「まーまー。しゅーじも心配してるってことだな」
「当然だ。何かあったらどうする」
三輪のそれは、どっちかっていうと"一般市民を守る責任を伴うのがボーダー隊員である"という思考に基づいて、私を心配してくれているように感じた。そこには勿論私個人の身を案じる彼の優しさが含まれているが、それと同じくらい、規則を重んじる三輪の責任感の強さを感じた。
「じゃ、出口まで送るから行くぞ」
「…うん。ありがと」
そして米屋のこれは、底なしの、彼の優しさ。
米屋自身は規則も責任もあまり重んじる性格ではないから。単純に一般市民を心配する優しさを、私にも向けてくれているのだ。本当は、一緒にボーダーに入った私の復帰を誰よりも信じているはずなのに。彼は未だに停滞している私に、一度も怒ったことはない。
ああ、裏切ってはいけないな。
「こっから外だ。じゃー気を付けて帰れよ」
「はーい。お世話になりました」
待ってくれる人がいる限り、私はホーダーとして死ぬわけにはいかない。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
