Affect057 ページ13
Aside
迅さんは、私がボーダーにとって戦力になるから優しいんだと思ってた。
「お前がC級だろうと何なら一般人だろうと、そこに存在してる価値は絶対ある」
なのに、今正反対の言葉が出てきて戸惑う。
「だから、戦力がないと自分に意味がないなんて思うな」
分からない、分からないよ迅さん。急に斬れなきゃ師匠を辞めるって言ったり、なのに雨の中私を追いかけてきたり、これからは斬らせるために動くって言ったり、今みたいな優しい言葉をかけたり。
矛盾しすぎて迅さんらしくないよ。
「………はい」
あの頃の感覚にちょっと似ていた。
太刀川隊にいた頃、太刀川さんが一番私の存在を肯定してくれていた気がしてて、けど、斬れくなった時に、太刀川さんは私に厳しい言葉を投げかけた、その頃に。
.
『お前は何の覚悟もしないで遠征に行ったのか？』
『言い訳するなよ』
『結局それはお前の覚悟が足りなかっただけだろ』
『A、お前は防衛隊員だ』
『戦えなくなるのが死ぬのと同じってことくらい分かるな』
『それで折れるなら、お前は"その程度"だったってだけの話だ』
.
でも、最後には太刀川さんは私のことを肯定してくれた。斬れなくても、軽蔑しなかった。今はそれと似た感覚だ。今の私にとって、一番私を肯定してくれるのは迅さんで、なのに否定されて傷ついて、でも結局迅さんは優しくて…っていう。
「私…すぐには無理だけど、斬れるように頑張る」
ブレードを握るだけで過る感覚が、まだ私を蝕む。
だけど、このままでいいだなんて私も思ってないから。簡単に克服することはできないけど、私だって、出来るのならあの頃みたいな防衛隊員に戻りたいから。
返り咲くんだ、完全なボーダーA級隊員に。
「ん。えらいぞ」
わしゃ、と迅さんが私の頭をなでた。
「で、さっそくおれから提案があるんだけど」
「提案？」
さっきまでとは随分明るい声のトーンになった迅さんがそう言った。そして次に彼の口から出た言葉に、新たな未来が始まる予感を感じた。
「しばらく太刀川隊に訓練つけて貰ってくれない？本部で」
「は！？」
もう抜けて2年近く経つ太刀川隊。
ボーダー内では全然関わってないし、何よりあの隊室に今更行くなんて、流石に気が引ける。
「斬れる感覚を取り戻すにはあの場所が最適だと思うよ、おれは」
私がボーダー隊員として一番輝いていた場所、太刀川隊。一番実力があった時間、太刀川隊。一番ボーダーが楽しかった、太刀川隊。
「……わかりました」
あの場所にもう一度踏み入ることが許されるのなら。
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
