Affect056 ページ12
Aside
シャワーを浴びた。それから部屋に戻って、髪を乾かして、ボフッとベッドに倒れ込む。
「…」
冷たかった雨の中で感じた迅さんの体温が、まだ残っている。どうしてあの時、あの人は私のことを抱き寄せたのか。欲しかった言葉はくれなかったのに。
迅悠一という人は、謎だ。
欲しい言葉をくれても本心からそれが出たのか分からないし、欲しい言葉をくれない時は突然訪れるから、そのタイミングで離れる理由が分からないし、何よりこの人は私の味方なのかどうかも分からない。
何のために私の師匠になったの、迅さん。
「…そりゃ、斬れるようにするためだよな」
わかってる、そんなことは。けどそうじゃなくて、私が知りたいのはそういうことじゃなくて。貴方の本当の気持ちが、知りたい。
「A」
コンコン、というノックの音と同時に、ドアの外から私を呼ぶ声がした。続いて「入っていい？」が訊こえたので、私は「はい」と答える。ガチャリ、とドアが鳴って開いた。
「温まった？」
「はい。迅さんこそ大丈夫ですか？」
「うん、へーき」
私は倒していた上半身を起こし、ベッドの上に座る。迅さんは入ってきて、床のカーペットの上に座った。そのままタオルで髪を拭きながら「ごめんな」。
「私の方こそ、取り乱してごめんなさい」
もっと冷静になればよかったんだ。迅さんは意味のないことはしない人。突然私に斬ることを要求したのには、必ず理由があるはず。それを考えもせず喚いた私は子供だった。
「…おれの話、訊いてくれる？」
「うん」
言うと迅さんは「ありがと」と微笑んだ。
「おれは、ゆっくりでいいと思って今までやってきた。お前が無理しないペースで、いずれ斬れるようになればって」
ぽた、ぽた、と、迅さんの髪から水滴が落ちていた。
「けど、そうも言ってられなくなった。詳しくは話せないけど…分かってくれるか？」
「…私が斬る必要がある事態が、起こるんですね」
この前の黒トリガー争奪戦の時は、私が斬れなくても迅さんと嵐山隊で何とかできたから、別に斬れなくてよかった。けど、そうはいかない事態が、もうすぐやって来る…、そういうことなんだろう。彼の未来視がそう言ったんだ。
「だから今までと同じように、優しくしてやれない」
「おれはお前に斬れるようになってもらうために動く。お前に寄り添うことよりも、お前を戦力にするために動く」
正直に迅さんがこういう風に言ってくれたのは、初めてかもしれない。
「けど、戦力だけがお前の全てじゃないよ」
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亜桜(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！過去編の方の親友と高校の親友は別人になります;;表記がややこしかったですよね！修正しておきますね〜！！ (2020年6月9日 12時) (
レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - とても面白いです！過去編の親友の名前は高校の親友と同じ名前でいいんでしょうか？ (2020年6月8日 23時) (レス) id: b6ab3f2fc3 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - そるとさん» コメントありがとうございます！マイペース更新で申し訳ないです;;がんばります！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すごく面白かったです。更新されることがあったら楽しみに待ってます！ (2020年5月21日 19時) (レス) id: 6009fd27be (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - みっとんさん» ありがとうございます！がんばります〜！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2020年1月4日 1時
