die Begierde_kus07 ページ31
「そそる。」
このところ暑くなってきた、等と話をしながら羽織ったカーディガンをひらひらとさせていると、南雲君は一言そう口にして眼鏡を外した。
え、と聞き返す間もなく肩の辺りに顔を埋めたと思うと、湿った生温かい感触が私の首筋をなぞる。
「ちょ、南雲君・・・っ!」
ん、と止める気はなさそうな短い返事と共に、彼の指先は私のカーディガンに掛かる。
肩の下まではだけさせられると袖の無いワンピースの所為で肌が空気に触れて一気に心許なくなる。
二の腕の柔らかい所に唇を充てて吸い付く彼に、もはや抵抗出来る訳など無いのだけれど。
引っ掛かったままの薄いカーディガンが、妙にくすぐったい。
「・・・カーディガン、伸びちゃう。」
「ええー、そこなの。」
囁かな抗議をすれど所作は無抵抗な私からカーディガンの袖を取り去ると、南雲君は一層笑みを濃くする。
「こんな薄っぺらい布一枚にAの素肌が守られているなんて、そそるよなぁ。」
南雲君は恥ずかしいことを、割と厭わずに言う。
少し骨ばった細い指が私の手首を拘束して、力なく横たえられてしまう。
組み敷かれているときにいつも感じることが、今日は何となく口をついて出てしまった。
「展翅されて、いるみたい。」
南雲君は少し目を見開いてから、愉しそうに笑った。
「文学的だな。Aのそういうところ、本当そそる。」
――――――――――――
腕と首なら欲望のキス
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沢崎(プロフ) - KANONさん» はじめまして。読んで頂いてありがとうございます。書きたい場面は色々ありますが、文字に起こすのが難しくて。お言葉が励みになりました!木林さんの素敵さを少しでも表現したいです^^ (2018年4月27日 3時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
KANON - はじめまして。木林さんのお話が読めて嬉しいです。不思議な怪しい魅力を持つ木林さん。何度も読み返してしまいます。これからも素敵なお話が続きますように‥ (2018年4月25日 0時) (レス) id: 1ebeb777d3 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - りこさん» はじめまして、コメント有難うございます!私も放送が終わっても木林さんのことを考えたくて書いています。イメージとかけ離れてしまわないか表現を迷っているので木林さんファンの方からそのようなお言葉を頂けて本当に嬉しいです。ぜひまたいらして下さいね^^ (2018年4月7日 2時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - はじめまして。ドラマ終了後も木林さんが頭から離れず、沢崎さんのお話に出会えた時は本当に震えました。毎作品、読み終えるのが勿体なくて、ゆっくりゆっくり読ませて頂いています。言葉選びがとても綺麗でこの喜びを250字では語り切れません。有り難うこざいます。 (2018年4月4日 23時) (レス) id: 27c3e3ee96 (このIDを非表示/違反報告)
沢崎(プロフ) - さくらさん» 訪問及びコメント、ありがとうございます!言葉の表現や情景は練っているつもりなので、とても嬉しいお言葉です^^また遊びに来て頂けると嬉しいです(´―`* (2018年4月2日 23時) (レス) id: a5bf5d2b75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沢崎 | 作成日時:2018年3月22日 22時