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本当は前を見続けて反応せずに
これが当たり前の形であるかのように振る舞うつもりが
個人の名前を挙げられ、声を掛けられたような気がして一瞥してしまう。
だが、だからと言って応えられることもなく
返答次第では詳細の一部は語らなくてはいけなくなりそうで
視線は一瞬だけ向けて、すぐに壇上へ向かっていく爆豪さんの背を見つめた。
…すれ違いざまに、私自身も爆豪さんから一瞥された気がした。
色々な人の視線が集まり、少し疲れた時、棘のある声が耳に入る。
「ヒーロー科の入試な。」
運良く、といっては語弊があるが
私と爆豪さんの話をする際彼らが出した「入試」というワードが
気にくわなかった様子の普通科の女の子は釘を強めに刺すように言葉を零す。
当てつけのような言動は好感は持てないが助かった。
おかげで彼らの話題は対抗心を向けられていること、ヒールを買った爆豪さんへ移る。
少しほっとして息が漏れた。
全てを振るい落とすように前に向き直ると彼はマイクの前ふてぶてしく佇む。
微かにマイクに彼の息が入って
吸い込んだ息と共に吐き出された宣誓はあまりにも彼らしい。
「せんせー…。俺が一位になる。」
お願いだからこれ以上私の中を掻き乱してほしくない。
いや、彼らの何が悪い訳でもなく
受け取り手の私の問題なのは分かっている。わかっていても…
子どものような言い分になるが…ムカつきますね、本当に。
彼のやりたいこと、とはコレだったんだろう。
苦手な彼に、思ったことは「かっこいい」だった。
中学のような嘲笑はなく、彼は「挑戦者」だった。
彼はこんなに多くの敵を作ってもなお１位を取りに行くと言ったのだ。
ヒールも買う、だが目を引く存在となって評価され目の敵にされ
それでも認めさせると言ったのだ。
私に出来ないことをする彼が、やっぱり
戻る彼の顔をまじまじと見てしまうとバッチリと視線が交わり
先に白旗を挙げ、逸らしたのは私だった。
真横から聞こえたのは舌打ちと、
「朝から変な顔しやがって…
ちゃちいマネしやがったら許さねェからな。」
という言葉だった。
＿＿やっぱり、変な顔してるんだ。私。
みっともない。恥ずかしい。
忘れたい、やめたい…けど、拭えない。
ただ、今この時だけはその言葉が肺に穴をあけた様な
溜まった良くない空気が抜けていくように、さっきより深く息を吸えた。
『…はい。』
第一種目は…障害物競走。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
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