117second ページ26
.
『消太さん、死んじゃうかと…また、一人かと、思った』
少しだけ揺れてしまった声音。
マイクさんは「そうか、頑張ったな」
と、そのたった一言を告げて、それ以上は何も言わなかった。
ユラユラと揺れる背中のリズムと温かさに私の意識は解けるように消えていった
薄れていく意識の中で願ったこと。
はやく起きてほしい。早く起きたい。
どちらが先に起きれるかな？どちらでも構わないか。
だからどうか、お互いに起きた時はいつもみたいに叱って。
私にも文句を言わせて。
きっと、満了で誰もが描く「幸せな家庭」なら
当たり前のように行われているであろう掛け合いが今は恋しくて仕方がない。
私は、なんてズルい人間なのだろう。
あの人を置いて逝くことを望んでいながら置いて逝かれたくない。
でも、生きている限り、あの人が心の支えで
一方で生きている限り、私は、許される形…「良い人」で死にたいと願い続ける。
消太さんこそ、本当の「良い人」だから
あの人がどれだけ心配してくれるか、そんなことわかっているのに
…分かっていても
自分が取り除けず重しのように深く沈んだ負の気持ちの終わりを
「死」という荒業で終わらせようと、楽になろうとしている。
そこにあるのは私が楽になった後
誰かしらにかけた多大な迷惑と、消太さんに幾度目の近しい人の死という苦痛
そして私が「良い人」として死ぬために利用された人の罪悪感だろう。
誰も報われない、楽になったのは私だけ。
それでも、まだ、まだまだ願うことはやめられない。
私一人の、この先の人生に希望を、生きる意味を見出せない。
だから、また願う。
どうか私のことなど気にしないで、どうなろうと見て見ぬフリをして
私は私のために「死」を願うから。
貴方は貴方のために、そのまま人生の歩みを止めないで。
＊＊＊
「両脚重症の男子生徒１名、感覚鈍麻状態の女子生徒１名
２名の生徒を除いてほぼ全員…生徒１９名無事、だね。」
生徒たちの安否確認を行っていた塚内警部は
「よかった」と不安げな様子の生徒たちを安心させるような笑顔を見せた。
しかし、彼らの年齢や突然向けられた悪意を考えれば
そう簡単に不安を解消することはできず、まだ顔色は優れない。
蛙水の問いかけから始まり、生徒たちは教師人の状態を知らされる。
それに続くように麗日は「デク君は！？」と心配そうに問う。
「あと過来も…！」
更に続いたのは、最終地点で過来と同席していた切島だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 472人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます。夢主の性格に合わせてなるべく繊細に、熟考した様子を描ける様に心がけているので感想とても嬉しいです。明日(本日)2話あげる予定なので楽しんで頂けたら幸いです。 (2022年11月10日 1時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - やった！！更新だ！！！ありがとうございます！！五臓六腑に染み渡る…睡さんの書く話は心理描写が細かくて…あと日本語が綺麗（？）です。これからも応援してます！ (2022年11月8日 14時) (レス) @page43 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。最初から読ませてもらいました！とても楽しくて面白かったと思いました。特に夢主のおっしゃる事や性格、個性、シリアス感がと出ていて読むのが楽しかったです。更新頑張ってください！！応援しています。 (2020年9月14日 1時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
