Time goes by ３

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「そんな・・・
それで引き下がったん？」


「仕方ないよ。
神山くんが何されるか分かんないもん。
神山くんの表情、
前とは違ってしまってた。
最後に会った時、
私とも優香子さんとも、
やり直すつもりないって言ってた」


「なんでやねん。
お前、お人好し過ぎるやろ」


重岡くんの吐く白い息が踊る。


「神山くんの負担になりたくなかったから・・・」


私なんかが、
神山くんに似合わないって気持ちがどっかにあって。

振られても仕方ないのかな。

そう、変に納得した気持ちにもなったりもした。


「許されへん。
その女も神ちゃんも」


吐き捨てるよう呟く。

こんな顔、いつも笑顔だった重岡くんには似合わない。


「なんで重岡くんが怒ってるの？」


「Aが傷付けられんのは、許されへん」


それは、
まるで付き合ってた頃のような、
言葉の使い方で・・・


「え・・・」


驚いて息を呑む。

重岡くん、


「・・・ごめん。
変なこと言うた」


慌ててそっぽ向いて、
言い訳するように呟いた。


「ううん。
ありがと」


「俺、神ちゃんのこと探してみるわ。
その前に、神崎オーナーのお見舞い行こうや。
いつが休み？」


そう言った重岡くんはもう、
友達の顔してた。


「月曜と火曜が休館日なの」


「火曜なら、
俺も大学ちょっと抜けれると思う。
流石に東京の深雪ちゃんは無理やんな。
先輩らには俺から声かけてみるわ」


「うん。
深雪にも伝えておくよ」


明後日の火曜日に会う約束をして駅で別れた。


神山くん、どこで何してるんだろう。

重岡くんからの連絡さえ無視するなんて。


あんなに仲良かったのに。


二人の関係を壊したのは、私だ。


後悔したって、時間はもう戻らない・・・









急だったし、平日だし、
先輩たちは来られなくて、

お見舞いは重岡くんと二人。


「神崎オーナー、
ご家族、奥さんと息子さんな、
震災で亡くしてるらしいねん。
息子さんは俺らの美大の先輩やってんて」


「そんなことが・・・」


重岡くんが教えてくれるまで、
ずっと知らずにいた。


私が賞を獲れたのは、
神崎オーナーが推薦してくれたおかげなのに。

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