Time goes by ３

５ ページ44

「どうして、さっき、大学にいたの？」


「シゲにみんなで集まるから来い言われてさ。
青い鳥の前まで行ってんけど。
やっぱ、入られへんかって。
そんで、大学の前うろうろしてたら、
松田教授に偶然会うて。
入れてもろてん」


「大、重岡くんと連絡取ってたんだ・・・」


大毅のこと、
まだ呼び捨てにして、
付き合ってるとか勘違いされるのが怖くて。

言い換えてしまった。

私、未練がましいな。

こんな有名な人になっちゃって。

もう、私なんて相手してくれるわけないのに。


それでなくても、

私、神山くんに嫌われてたんだった。


「いや、あいつ、いきなし、
うちの事務所、訪ねて来てん。
めっちゃびっくりした。
マネージャーに怒られて、
そん時は話されへんかったから。
俺から大学に電話して、
一回だけ話してん」


そこで、コンビニに到着してしまった。

ただ、淡々と、花火を選ぶ。


「結構人数おるもんな。
多目に買うた方がええよな」


「そうだね。
あっ、水鉄砲ある。
これも買っちゃう？」


「あー、シゲ、喜びそうやな」


「昔、みんなでやってたね」


「シゲが持って来てな。
あいつ、ほんま子供やったな。
今じゃ、立派な先生らしいけどな」


「うん」


カゴに詰め込んで、レジ行こうとしたら。


「ちょっとええ？」


アイスの棚覗いて、真剣な顔してる。


昔と変わってないとこ見て、
胸が、きゅうっとなる。


「俺はチョコ。
A、・・・Aは？」


「私はソーダにする」


さっき、名前で呼びかけてくれた。

慌てて、言い変えられちゃったけど。


それだけで、こんなに胸がドキドキして苦しい。


「ちょっと寄り道やな」


目の前にあった児童公園のブランコに並んで座って、
棒アイスを頬張る。


なんだかデートしてるみたい。

そんなこと考えてるの、

私だけだろうな。


「美味いなあ。
チョコアイスは王様やな」


嬉しそうな神山くんの横顔、盗み見る。


あんまりにも、自然で、
なのに、カッコ良くて。

しばらく、視線外せなくなった。


「ん？チョコにすれば良かったとか言う？」

６→←４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す