Time goes by ３

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今となっては、

『神山智洋』はもう、遠い存在の人。


翌週会いに行ったら、

ホストクラブにも、
マンションにも、

どこにも、智の姿はなくなってた。


「ねぇ、今月号の、みんな見た？」


今年の春、ついに、
濱田先輩の奥さんになった美久先輩が、
音楽雑誌を出して来た。


その表紙に写ってるのは、

今や、飛ぶ鳥を落とす勢いの、
男性５人の人気グループ、

【AKATUKI】


神山くんは、その一員だ。


一昨年の夏、
初めてテレビで神山くんを見た時は、
本当に驚いた。

それ以降、本当にいろんなメディアで目にする。


「凄いよね、神山くん。
歌も上手いし、ダンスも上手いし。
こんな才能あったなんてね。
私はでも、小瀧くん派だなあ」


「私は断然流星派」


深雪も梓先輩も、はしゃいでる。


「たまには神ちゃんにも会いたいけどさ。
連絡なんか出来へんよな」


「あっちは有名人やしな。
すっかり遠い存在やな」


照史先輩と濱田先輩は、少し寂しそうだ。


女子の先輩たちは、
私が智と付き合ってたなんて知らないから。


「でも、有名人と友達やったなんて、
ちょっと鼻高いよね？
な？Aちゃん」


同意求められて。

返事に詰まる。


重岡くんが、心配そうに私を見るから・・・


「そうですよねっ。
自慢しちゃお」


平気なふりして、はしゃいで答える。


「神ちゃんは、
俺らのこと、忘れてたもうたんかなあ」


濱田先輩の寂しげな声に、


「んなわけやいやん。
神ちゃんが俺らのこと、
忘れるわけない」


大毅がやけにムキになって答える。


「どうしたん？シゲ」


照史先輩に聞かれて、ちょっと気まずい顔をした。


「別に、なんもないで」


慌てて作った笑顔。

何か隠してる顔してる。


神山くんのこと。

大毅は何か知ってるの？









お茶の時間から始まった同窓会なのに、
積もり積もる話に盛り上がって。

夕方には、
大倉さんの計らいで、
特別にお酒も出してもらって、
気付けば、閉店時間の２０時。


外に出た途端、
肌にまとわりつく、
夏の湿った空気。


みんなほろ酔いで、
気分は浮かれ気味。


「懐かしいし、
ちょっと大学寄って行こうや」


濱田先輩が言い出した。


「行こう！行こう！」


ってことになって。

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