Time goes by ３

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きっと、甘えてまう。

それだけはあかん。


やから・・・


「俺な、中間社長の、おもちゃやねん。
そんでも、変わってへん、言えんの？」


言うてもうた。


乾いた空気が、張り詰めて、ぱりんと割れた。


「智？どういうこと？」


Aの震える声と、


「トモの好きなタルト買うて来たで。
選ばれへんかったて、
５種類も買うてもうたわ」


玄関先から聞こえてくる、
中間社長の甘い声が重なる。


「どうもこうも。
俺、社長の愛人やねん。
それが、付き合われへん理由や」


Aは受け止め切られへんみたいや。

そら、そうよな。


「・・・智、そんな嘘、つかなくていいよ」


信じてない顔してる。


「嘘ちゃうわ」


そう言うた時。

中間社長が入って来て・・・


Aに気付いて、ちょっとだけ、驚いた表情した。


Aの顔が青ざめてく。


さっきの俺の言葉、ようやく信用したみたいや。


「もしかして、元カノ？」


中間社長に聞かれたけど。


高校の同級生、大学時代の仲間、

親友やった男の元カノ、


俺自身の、前の彼女、


どんな肩書きも、

Aには、相応しくない気がして。


「昔の知り合いです」


そうとだけ、答えた。


誰より好きな女の子。

恋してるだけやなくて。


こんな大切に思える人に、
二度と出逢うことないて、

言い切れる、

唯一の存在。




Aが去った部屋。


「なあ、トモ。
彼女帰してもうて、
良かったんか？」


中間社長が、俺を見つめて聞く。


「ええに決まってるやないですか」


強がって答えたけど、
カウンターのスツールに座ったまんまで、
動かれへん。


もう二度と会われへん。


そうしたんは自分やし、

何度も何度も覚悟してきた。


シゲに預けようって決めたことも、本気やった。


どうせ壊れるなら、

自分のこの手で、壊してしまいたかった、

そのはずやのに。


なんでこない、涙が出るねん。


ほんっま、情けない。


心なんか捨てた思てたくせに。


今の方がずっと、

自分の感情に振り回されてる。


「トモ。夢、追いかけよな」


中間社長が俺の肩を叩いてくれて。

もっと涙が溢れた。

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