Time goes by ３

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「そんなの語呂合わせで、
適当な漢字当てはめたんだよ」


「んな身も蓋もない言い方して」


「だって・・・」


「俺が追い出したるから。
一緒にリビング戻るで」


はよここから出んと、
気付かれてしまう。


「やだ。
ここで待っててもいい？
あっ。やっぱりひとりにしないで」


「どっちやねんな」


不意に、Aが黙りこむ。


「・・・」


「A？」


「・・・神山くんだったんだ。
最初に絵を買ってくれた人」


バレてもうた。

部屋に入ってこられた時点で、
半分諦めてたけどな。


ほんまは、俺、

自分の気持ち、知って欲しいて。

心の奥底では願ってんねやろな。


こいつの幸せが、一番のはずやのに。


「まあな。
やって、この絵のモデル、俺なんやろ？」


「うん・・・」


「やから、俺が持っておこ思て」


「ありがと・・・」


あかん。

もう、気持ち、溢れてまいそう。


Aはずるい。

いつだって、俺の心、揺さぶって・・・


「誤解すんなや。
思い出と今は違うからな」


傷付いた顔するかなって思ったのに。


「分かってるよ、そんなことぐらい」


ちょっと拗ねた生意気な感じで返ってきて。

また、胸がきゅんてなる。


「かっ、神山くんっ、何か着てっ」


俺がまだ上半身裸やってことに、
やっと気付いたみたいで、
口ぱくぱくしてやる。


目ぇ、慌ててそらしてさ。


「今更？」


付き合ってる時も、
こんな感じで、照れて可愛いかってんなあ。


「早くっ」


「分かったって」


Tシャツかぶってパーカー羽織って。


「ヤモリ退散させてくるから。
待っとき」


もうちょっとで、頭、ぽんってしてまいそうやった・・・









すばしっこく走り回るヤモリを、
なんとか玄関の外の廊下へと追いやった。


「あー、ほっとした。
神山くん。ありがと」


Aがほんまに安心した顔して笑う。


シャワーやら着替え、って、貸したげてええん？


彼女とは違うんやし、それはあかん？


けどな。


神戸から来て、
おまけにあんな怖い目に遭うて。


めっちゃ疲れたやろし、
ゆっくり寝かせてやりたい。
　

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