Time goes by ３

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「大毅、もういいよ。
神山くん、ごめんね。
急に来たりして。
神崎オーナーがね、
・・・末期癌の宣告されたの。
もう長くないって。
神山くんに会いたがってる。
それ伝えに来ただけだから」


それでも、神山くんは、
顔色、変えなかった。


「もう俺には関係ない。
過去は捨てたから」


それだけ最後に言い残して、
私たちに背を向けて。


今度こそ、本当にビルの中へと消えてしまった。









帰りの新幹線では、
悲しくて、言葉がなにも出てこなかった。

それは、大毅も同じみたいで・・・


「俺らの知ってる神ちゃんは、
もう思い出ん中にしかおらんねやな」


一言、呟いたきりで。

それからは、
神山くんの名前さえ、出さなかった。


神山くんが夢を諦めても、
どこで何をしてても、

そんなこと、嫌いになる理由にはならない。

神山くんが選んだ道なら。


だけど、きっとそうじゃない。


過去は捨てた。


あの日の私と同じこと、言ってた。


思い出したくない、捨ててきたもの。


神山くんにとって、
私の存在はそうなってしまったんだ。




部屋まで送ってくれた大毅は、


「もう前に進んでさ。
俺と付き合お？」


もう一度、改めて言ってくれた。


「でも、再会したばっかりだし・・・」


こんな風に逃げるのは、ずるいのかな。


冷たくされても、

変わってしまってても、


神山くんの氷のような表情が、

頭から離れないの。


いつだって、

どんな形であれ、

私の胸を占拠するのは、

彼一人。


「そっか。
なら、今の俺を好きになってもらえるようにする。
また出会ったつもりで」


「大毅・・・」


「神ちゃんのことなんか忘れてまえ。
今度こそ俺が忘れさせたる」


ぎゅっと抱き寄せられた。


神山くんとは違う強さ。

違う、匂い。


大毅は、

他の誰でも、神山くんじゃない・・・


「ごめん。
忘れられる気がしないんだ。
ばかだよね。
あんなに拒絶されて。
大嫌いって言われてるようなものなのに。
もう好きになった神山くんはいないのに」


今日出会った神山くんに、

私はもう一度恋に落ちた。

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