Time goes by ３

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「やっぱAの笑った顔、可愛え。
はよ俺の彼女って言いたい」


ずっと一人で肩肘張ってたから。

正直、大毅の気持ち、嬉しい。


自分の味方、
甘えられる人がいるっていう、

幸せな感覚。

思い出しかけてる。


「部屋まで送るわ。
どっかで飯でも食うてこ」


今度こそ、大毅が立ち上がった。


少し先を歩く、
屈託ない笑顔は、
あの頃と変わらない。


私はいつもこの笑顔に甘えて。

救われてきた。


確かに、大毅に恋してたって言える。


もし神山くんに出会っていなければ。

今も大毅の隣、歩いてたと思う。


だけど、

理屈もなく、

理由もなく、

惹かれてしまう人に、

出会ってしまったから・・・


神山くん・・・

智。


今、何してる？

どこにいるの？


私のことなんか、とっくの昔に忘れちゃったかな・・









年が明けてしばらくして。


「神ちゃんの居場所！分かったで！」


大毅から報告を受けて、
休みを合わせて、
二人で東京へ向かった。


足を踏み入れたことのない、

私の人生には登場しないと思ってた、

いかにもな雰囲気のビル。


噂では、

神山くんは、
この有名な高級ホストクラブで、
ホストしてるっていうの。


「ほんとにこんなとこにいるのかな」


「照史先輩に聞いてん。
ここに入ってく神ちゃんを見かけたやつがおるって」


「そっか。
じゃあ、入る？
物凄い金額取られない？」


「ぼったくられてもしゃあないやろ。
俺、カード持ってるし大丈夫」


「う、うん。
私もカードは持ってる」


やっぱり、なかなか入れない。


ビルの階段に足を踏み入れたら。


壁に、でかでかと、
ホストの皆さんの写真が貼ってあって。


「うわ。マジか。
tomoナンバー３やて」


そこには、神山くんの顔が写ってた。


大毅は、言葉、失ってる。


メイクしてるのかライトのせいか、
服装のせいか、

神山くんじゃないみたい。


だけどやっぱり本人だ。


会えたとしても、
何を話そう。


怖気づいて、後ずさりかけた時。


「・・・お二人さん。
揃って何やってんねん」


すぐ後ろで、呆れた声が聞こえた。


振り返らなくても分かる。

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