６ ページ47
「多分、カラダで誘惑でもしたんだよ。
あの子、ほら、
女子には感じ悪いくせに、
男子にはブリブリしてさ、
男好きで有名だったし」
足音に混ざって、はっきりと聞こえてきた悪口。
神山くんにだけは聞かれたくなかった。
「あいつら・・・」
私たちに気付いた彼女たちは、
さすがにちょっと気まずそうだ。
「なあ、自分らさ、そんなん言うて情けなないん？」
神山くんが、彼女たちに詰め寄ろうとして・・・
高３のあの出来事がフラッシュバックする。
息が出来ないような、
目の前から色が消えるような、
そんな苦しいのは、もうやだ。
「神山くん、いいよ。
行こ」
気付いたら、自分から、
神山くんのコートの袖をつかんで、
駆け出してた。
息が切れるまで走って・・・
立ち止まった時、
神山くんが、私の手をぎゅっと繋いだ。
慣れた感じで、恋人繋ぎに変わる。
照れて、
何度も手がかすってやっと繋いだ、
大毅とは違う・・・
いけないと分かってるのに。
「今日だけ、最後だから」
言い訳をして。
二人で、やって来たオレンジの電車に飛び乗った。
辿り着いたのは、鎌倉。
町屋カフェでランチして、
お土産を見たり、
潮の匂いのする中、
風情のある街並みにときめく。
それもみんな、
神山くんと一緒だからだって、
分かってる。
お土産屋さんで見つけた、
天然石の水色のピアス。
「これ、Aのマニキュアの色に合うてるな」
神山くんがさっと手に取って、
私の耳にあてる。
くすぐったい。
「ん、やっぱ似合う。可愛え」
満足そうに微笑んで、
さっさとお会計に行ってしまった。
「待って。
買ってもらうわけにいかないよ」
「俺もAにクリスマスプレゼントもらったやん。
ほら、これ」
プレゼント交換した時のキーホルダー。
笑顔で、かざして見せる。
「それは、たまたま神山くんに当たっただけなのに」
「ええやん。
俺があげたいねん」
安いものじゃないし、
それに何より。
大毅に悪い・・・
「今日だけはシゲんことは忘れて。
俺だけの彼女でおってや」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす(プロフ) - 神山くん派です！ (2020年10月20日 13時) (
レス) id: c79fa5815b (このIDを非表示/違反報告)
緑推し！(プロフ) - しげのことを考えると気の毒ですが…本来の主人公を知っていて魅力もわかっている神ちゃんと結ばれて欲しいです…！しげも受け入れてくれそうですが、やっぱりずっと案じてくれていた神ちゃんがいいです。 (2020年10月20日 8時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - しげのことも大好きですが、私は神ちゃん派なので、神ちゃんと結ばれてほしいです！ (2020年10月20日 0時) (レス) id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーらん(プロフ) - どっちも見たいですがわたしは神山くん派です！！; (2020年10月20日 0時) (レス) id: 47814a5ff4 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - どっちも結ばれて欲しい気持ちもありますが神山くん派です！！ (2020年10月20日 0時) (レス) id: abf5d6786c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool
| 作成日時：2020年10月11日 10時
