６ ページ17
「A！Aも泳ごうや！」
海の中から、
ビーチボール抱いたシゲが大声で呼んだ。
「いい！」
Aは、笑顔で一言そう返すだけ。
灼熱の太陽の下から、
俺もテントの中に避難。
無意識やったけど、
少しでも二人きりでおりたかったんかもしれへん。
狭いシートの上に並んで座った。
思ったよか、
Aとの距離が近い。
ノースリーブのシャツから覗く、
白い腕。
鮮やかな、
夏らしい水色のマニキュア。
紺色パンツの裾から、
いかにも柔らかそうな、足がのぞいてる。
あかん。
見るな見るな。
手とお揃いの水色のペディキュアで飾った、
小さな爪。
内心、めっちゃドキドキしてるん、
気付かれへんかな。
「神山くんは泳がないの？」
「俺、あんま泳ぐん得意ちゃうねん」
「意外だね。
運動なんでも得意そうなのに」
俺に対しては、いつも、素っ気ない話し方。
高校ん時みたいに、
素顔見せて欲しいのに・・・
水着になんの嫌なんかな、て、なんとなく思った。
「そういうAも実は泳がれへんねやろ？」
「・・・」
「無言てことは図星やな」
「泳げるようになりたいとは思ってる」
「偉いな」
俺が笑ったら、
Aも、つられて、
ほんの少しだけ、笑ってくれた気がする。
「なあ、何聴いてんの？
俺も聴きたい」
イヤホン片方、すっと取り上げる。
Aは、めっちゃあたふたしててさ。
途端に可愛いねんけど。
ちょっと昔に戻った気がした。
「あっ、この曲、俺も好き。
ギター練習中やねん」
「神山くん、ギター弾けるの？」
「まあ、ちょっとな」
「なんでも出来ちゃうんだね」
「そん言い方、褒められてる気がしいひんねんけど」
「褒めてるよ」
すっと、視線をこっちに寄越す。
ドキッとしたん、見透かされそうで。
「やっぱ、Aは眼鏡ない方が可愛ええな」
思わず、昔みたいに言うてた。
あん時、ほんまはキスしてまいそうやった。
そう言うたら、
どんな顔すんねやろ。
ビンタされるかな。
あん時は、好きとか、
そんな気持ち、
よう分かってなかったけど・・・
「チャラい」
「なんでやねん」
「まんまでしょ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす(プロフ) - 神山くん派です！ (2020年10月20日 13時) (
レス) id: c79fa5815b (このIDを非表示/違反報告)
緑推し！(プロフ) - しげのことを考えると気の毒ですが…本来の主人公を知っていて魅力もわかっている神ちゃんと結ばれて欲しいです…！しげも受け入れてくれそうですが、やっぱりずっと案じてくれていた神ちゃんがいいです。 (2020年10月20日 8時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - しげのことも大好きですが、私は神ちゃん派なので、神ちゃんと結ばれてほしいです！ (2020年10月20日 0時) (レス) id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーらん(プロフ) - どっちも見たいですがわたしは神山くん派です！！; (2020年10月20日 0時) (レス) id: 47814a5ff4 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - どっちも結ばれて欲しい気持ちもありますが神山くん派です！！ (2020年10月20日 0時) (レス) id: abf5d6786c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool
| 作成日時：2020年10月11日 10時
