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greysky (2011) 1 ページ1

Aside


きっかけは、些細なことだった。

積み重なって、
時が流れて、

とっくの昔に、

やり直しも、
取り返しもつかないところまで、

来てしまった。


こうなってしまったのには、
私にも原因があるんだと思う。

担任も親もそう言ってたし、

私自身も、私なんか大嫌いだ。


いつもビクビクしてて挙動不審だし、
みんなとおんなじように盛り上がったり、
空気読んだりが上手く出来ない。


だから、私が、いつも、ぼっちなのは、
当然なような気もするんだ。


今日も空は高く、
雲は気ままに流れてゆく。


昨年、先輩の飛び降りがあってから、

禁止の校舎の屋上への扉の前には、
立ち入り禁止のロープが張られてる。

だけど、昼休みの私には、
ここにしか居場所がないの。


メロンパンを頬張る。

味なんか分かんないけど、
今はお昼の時間だから。


泣かないようにしよう。

泣かないように。


平気。平気。平気。


ここから落ちて、空に溶けた有紗先輩とは。

私は違うから。


この檻からだって、
たったのあと8ケ月で脱出出来る。

正々堂々、
卒業という免罪符をもらって。

そしたら、
私は今の私を捨てて、
生まれ変わるんだ。


この街を出て、
今の自分を捨てて、


お洒落をして、
メイクもして、
自信を持って、
堂々と振る舞える人になって、

そこから人生をリスタートさせる。

そう決めてる。


最後の一口を無理に喉の奥に押し込んだ時。


背中に、

ギィーっと錆びついた、
扉を開く音が聞こえた。


「あれ?先客?」


私だけの居場所に邪魔者が侵入して来た。

同級生に会うと、自然と身構える癖がついてる。


「確かさ、Aさんやったよな?」


屈託なく話しかけてきたのは、

関西からの転校生の神山くんだった。


第二ボタンまで外した、
真っ白なカッターシャツは、
少しオーバーサイズ。

緩んだネクタイ。

少し明るい髪の色。

明るい色のペンで落書きしてある上履き。



この灰色の校風の進学校において、

私とはまた違う意味で、

彼の存在は異質だ。


春に彼が転校して来てから、
女子の声のオクターブが一段上がった。

2→



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しらす(プロフ) - 神山くん派です! (2020年10月20日 13時) (レス) id: c79fa5815b (このIDを非表示/違反報告)
緑推し!(プロフ) - しげのことを考えると気の毒ですが…本来の主人公を知っていて魅力もわかっている神ちゃんと結ばれて欲しいです…!しげも受け入れてくれそうですが、やっぱりずっと案じてくれていた神ちゃんがいいです。 (2020年10月20日 8時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - しげのことも大好きですが、私は神ちゃん派なので、神ちゃんと結ばれてほしいです! (2020年10月20日 0時) (レス) id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーらん(プロフ) - どっちも見たいですがわたしは神山くん派です!!; (2020年10月20日 0時) (レス) id: 47814a5ff4 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 - どっちも結ばれて欲しい気持ちもありますが神山くん派です!! (2020年10月20日 0時) (レス) id: abf5d6786c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool | 作成日時:2020年10月11日 10時

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