人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/陸【鬼滅の刃】

２３４話＊不穏な匂わせやめろください ページ9

『確かに私は弱いし鬼怖いけど……ここで頑張るって決めてるんです。だから、その、』



“もう心配しなくても大丈夫です”？
いや、それは何か違うだろう。ああもう、語彙力が来いｯｯｯ!!

私が一人でキレ芸かましてる間にも、不死川さんは静かに口を開く。


「……うるせェ。お前がどんな覚悟を持っていようが関係ねェよ。無駄口叩いてる暇があったらさっさと行ってやれ。俺が着く頃には完全に準備を終わらせとけよ」



不死川さんが示す方向には心配そうにこちらを見る炭治郎が。
あ、待っていてくれたのね。てっきり置いてかれたのかと思ったわ。

不死川さんのことも気になるけど、友人を待たせるのもアレなので先に行かせていただくことにした。



『炭治郎、待たせてごめん』
「大丈夫だよ！えーっと、稽古はこの不死川さんのと義勇さんのと悲鳴嶼さんのとでおしまいだっけ？」
『？うん、そうだね。しのぶさん参加しないし……』



！気遣って話題を変えてくれたのか。ほんとに優しいなぁ、この子。
この子と一緒だとこんな地獄を蠱毒したみたいな状況下でも笑顔でいられるんだよね。

よし！なんか次もなんだかんだ言って上手くいくような気がしてきたーーッ！！(フラグ)




＊＊＊




『……フラグ回収お疲れ様でーす……』
「Aーーっ！今度は竈門が吐いたから処理頼んだ！」
『今行きまーすッッ！！』


不死川さんの訓練は控え目に、本っっっっっっ当に控え目に言ってやばかった。語彙力はしんだ。

私、ここに来て数時間しか経ってないけど何回吐瀉物処理した？監督的な役割って何だっけ？？？



不死川さん式訓練。それは“とにかく不死川さんに斬りかかっていく”という単純な打ち込み稽古だった。



そう、“あの不死川さんに向かって”斬りかかっていくんだよ。

もちろん不死川さんは一切手加減なしで弾き返してくるので、斬りかかっては地面に叩きつけられ、斬りかかっては投げられの無限ループ。


しかもこれを気を失うまで休憩なしで続けるときた。
伊黒さんだってもっと休憩をくれたのに……



『呼吸が使えなかったら確実に死者が出てたよ、これ！』


不死川さんは良い人、なんだと思う。蜜璃ちゃんがそう言ってたってのもあるけど、さっき話した時なんとなくそう思った。

でもやっぱり、これを見てると第一印象のトラウマ(10:0で私が悪いけど)が蘇ってくると言いますか……




「……A、ごめん」
『えっ？』

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