人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/陸【鬼滅の刃】

２３３話＊れっつ！地雷系ごっこ！ ページ8

「や、やや……」
『や？』



善逸の大きな目からボロッと涙が零れる。うわびっくりした。



「A……」
『わ、私が泣かせたわけじゃないし！そんな目で見ないでよ！』


救いを求めるように善逸を見れば、彼は血走った目で宙を睨み、叫ぶ。


「ややややっとここまで逃げてきたんだ‼ 塀を這ってきたんだ気配を消してヤモリのように‼ 命にかかわる殺されるッ‼」
『応えになってないよ！だから誰にさ⁈』



今の善逸の応えは「好きな食べ物何？」と聞かれたのに対して「スキナタベモノ……？」と返すようなものだろう。


───しかし私は次の瞬間、その意味を理解する羽目になってしまった。



『ぜ、善逸、ドーンマイッ☆』
「えッ何々、俺Aちゃんのそんなに楽しそうな声久しぶりに聞いたんだけど……って、ギャッ⁉」


善逸が油の切れたロボットのように首をグギギ……と動かして振り返ると、百獣の王も尻尾巻いて逃げるレベルに激おこ顔した不死川さんが。



「選べェ……訓練に戻るか俺に殺されるかァ」


案の定善逸は私達の鼓膜を大破させるんじゃないかと思うほど叫んだけど、不死川さんはそれを手刀で黙らせた。っぉぃ。



「運べ」
「あ、はいっ」



そう言って、無一郎や伊黒さん同様スタスタと歩いて行ってしまう不死川さん。
柱の男性陣ってみんなこうなのかなぁ。それとも自分の脚の長さを自覚してないだけ？



「ご無沙汰しています。今日から訓練に参加させてもらいます。よろしくお願いします！」
「調子乗んなよォ。俺はテメエを認めてねえからなァ」



こ、言葉の斬れ味が日輪刀〜〜〜!!!
でもそれにめげるほど炭治郎のメンタルは弱くないわけで。



「全然大丈夫です！俺も貴方を認めてないので！禰豆子刺したんで！」



とだけ言って、善逸をおぶったままスタスタと歩いて行ってしまった。
そうだな、忘れてたよ。お前はそういうやつだったな……



って！待て待て待て、お願い待っておくれ炭治郎。
君が行っちゃうと私、不死川さんと二人きりなんだけどォ⁉




『えっと、その、不死川さん』
「俺のことは“不死川”じゃなかったのかァ？」
『いやそれは本当マジで申し訳ないと思ってますマジで。……蜜璃ちゃんに色々聞いたんです』



私の言葉に、不死川さんはピタリと立ち止まる。
しかし顔は無表情で、眉ひとつ動かしてくださらない。

えぇ〜〜これ何考えてるときの顔⁇
Aたそマイメロだからわかんない〜〜〜(現実逃避)

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