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267話*思い出せ ページ47

上弦の壱は不死川さんや悲鳴嶼さんの攻撃を流しながらも少しずつ、私に近づいて来る。


逃げなければ


そう頭ではわかっているはずなのに体が動かない。どうしようどうしようどうしよう、嗚呼もう触れられる距離まで来た。


このままアイツのところにまで連れてかれるのだろうか。
そう思って固く瞼を閉じた、その次の瞬間だった。


頭に冷たいものが当たる────それが上弦の壱の手だと気づくのに、そう時間はかからなかった。




『……え?』


ま、ままま待ってこの状況。えッ本当に理解が追いつかない。
えええもしかして、もしかして私、な、撫でられて……る?



『あの、えっと?』
「嗚呼、懐かしい……ようやく、ようやくまた会えた……」



また会えたって何。六つ目さんとか私、今日生まれて初めてエンカウントしたんだけど???

周りを見てみれば皆も驚いたように私達を見ていた。
そりゃそうだよね、私も現在進行形でびっくりしてるもん。


……いや本当にさっきから数年ぶりに初孫にあったおじいちゃんの如く私の頭を撫でてるけど何なんだろこの鬼。


それに、なんで、なんでこの鬼はそんなに慈しむような目で私を見るの。





「やはり、やはり何も変わっていない…… 髮カ髮ィ」
『は、』


私の耳がリスニング拒否ったみたいで上手く聞き取れなかったけど、多分アイツが私を呼んだのと同じ言葉。

そう、上手く聞き取れなかったのに、その言葉は私を表しているのだと理解した。理解してしまった。




「思い出せ……あの方は待っていた。貴女をずっと、ずっと……」
「駄目だA、思い出すな!」




脈拍が上がる。身体がすごく熱いし痛い。
特に額に激痛が走る。もし骨が割れる痛み、というのがあれば多分この痛みに近いんだと思う。


刀鍛冶の里であった時同様、頭痛と共にあまりに多くのものが脳裏を過ぎったが、今度は全て捉えることができた。




「……思い出した?」


『うん、思い出した……ぜんぶ』




わたしの、あなたの名前は、



268話 **胡蝶しのぶは知っていた→←266話*ドライアイになったら大変そう



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天弥(プロフ) - 紅鮭@さぶさん» 有難う御座います!! (2022年6月7日 23時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@さぶ(プロフ) - 天弥さん» お返事遅れちゃってごめんなさい!もちろんですよ〜!!お友達申請しておきますね٩(ˊᗜˋ*)و (2022年6月7日 22時) (レス) @page6 id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - 今231話までを見て思ったことを言います。………主様、知り合いになって頂けませんか?((( (2022年6月6日 11時) (レス) @page6 id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 人には塩対応されるけど鬼には愛され(笑)る系女子、それが零藤ですので!これからも霹靂一閃並のスピードで進んで行きますのでよろしくです(´∀`*) (2021年7月25日 6時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 数年ぶりにあった初孫…じわじわきました(笑)黒死牟さんがお祖父ちゃんなら、上弦の三と二は親戚の叔父さんとか従兄弟とかですかねぇ。展開にワクワクしてきました。続きが気になりますっ!…というか不死川さんって…… (2021年7月24日 13時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅乱 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月4日 16時

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