260話*またね ページ40
「う、腕が……!ありがとう、Aさん!」
『うん、良かった。じゃあまたね!』
「カァァ!五時ノ方向ニ鬼在リ!」
初めは不安しかなかったすごろく方式のデスゲーム()も、治療人数が二桁になる頃にはかなり慣れてきた。
いや全然嬉しくないけど。
つーか“やるべき事”って本当にこれで合ってるのかな?
そんな一抹の不安を抱えつつ走っていると……
『!』
前方の敷居のところに鞘に入ったままの日輪刀を視認した。
それにしても支給される日輪刀は一部の例外を除けば打刀がほとんどだと思ってたけど……飾り太刀みたいな刀装具がついているような。
そう思って近づいて見て───私は近づいたことを心の底から後悔した。
私が刀装具だと思った“それ”は刀装具ではなかった。
これは、人の手だ。
これ持ち主は恐らく、刀を抜くことすら出来ないまま異形の鬼に喰われたんだろう。
「AA、ソノ刀ノ持チ主ノ治療ハ不可能ダ」
『わかってるよ、それぐらい……』
血で汚れてはいるけど綺麗に整えられた爪を見る限り、この刀の持ち主は女の子だろう。
日輪刀も普通の打刀よりいくらか短いので脇差、というやつだろうか。
……
「……ソレヲドウスル気ダ?」
『そ、備えあればなんとかかんとかって言うじゃん?』
意外とずっしりと重いけど、一度持たせてもらったカナヲの日輪刀に比べたらまだ軽い方。
この空間は鬼の領域だ。多分きっと上弦の壱や弐や肆や伍や陸も、煉獄さんを殺した猗窩座とかいう鬼もいるはず。
だから今まで通り柱に守られるのは難しいよね。
そしてこれは本当にただの直感に過ぎないんだけど、私が“やるべき事”をするためにもなんかこれを持っていた方が良い気がするんだ。
恐る恐る抜刀してみれば、いつか炭治郎がくれた着物の色と同じ、薄紅藤の刀身が鈍く光った。
***
この屋敷のような謎空間の中で走り続け、どれぐらい経っただろう。
沢山の人の治療をして、沢山の人に助けてもらった。
中には柱と会った、という人も何人かいたけど皆アイツが私を妹と呼んだ、ということは知らされてないようだった。
これは故意なのかな。だとしたらその理由が知りたい。
「二時ノ方向ノ鬼ハ先程治療シタ隊士ガ狩ッタヨウダナァ!カァァ!……!」
『?どうしたの』
急に私を先導していた烏が動きを止めた。
え、何さ?!怖いんだけど
「死亡!胡蝶シノブ死亡!上弦ノ弐トノ格闘ノ末死亡ーーッ!!」
『は、』
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天弥(プロフ) - 紅鮭@さぶさん» 有難う御座います!! (2022年6月7日 23時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@さぶ(プロフ) - 天弥さん» お返事遅れちゃってごめんなさい!もちろんですよ〜!!お友達申請しておきますね٩(ˊᗜˋ*)و (2022年6月7日 22時) (レス) @page6 id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - 今231話までを見て思ったことを言います。………主様、知り合いになって頂けませんか?((( (2022年6月6日 11時) (レス) @page6 id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 人には塩対応されるけど鬼には愛され(笑)る系女子、それが零藤ですので!これからも霹靂一閃並のスピードで進んで行きますのでよろしくです(´∀`*) (2021年7月25日 6時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 数年ぶりにあった初孫…じわじわきました(笑)黒死牟さんがお祖父ちゃんなら、上弦の三と二は親戚の叔父さんとか従兄弟とかですかねぇ。展開にワクワクしてきました。続きが気になりますっ!…というか不死川さんって…… (2021年7月24日 13時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
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