229話*なるほど、地獄か ページ4
「竈門炭治郎、AA、俺はお前達を待っていた」
その日の昼下がり、私と炭治郎を出迎えたのはクッソ不機嫌な伊黒さんだった。
いやもう本当に、本っっ当に不機嫌すぎてびっくりしちゃった。
伊黒さんは元気良く挨拶しようとした炭治郎を「殺すぞ」と制し、私達を睨みつける。
「甘露寺からお前達の話は聞いた。随分とまあ楽しく稽古をつけてもらったようだな……俺は甘露寺のように甘くないからな」
彼はそれだけ言うと、訓練場の中に入っていった。えっと、付いて来いって意味かな?
……それにしても、蜜璃ちゃんの稽古も私的にはなかなかの地獄だったけど……はたして伊黒さんの訓練はそれをも超えるほどなのだろうか。
実はそうでもなかったりして……
なーんて、そんなことを考えながら訓練場の扉を開けたその瞬間、私は数秒前の自分にコブラツイストをキメたい衝動に駆られた。
「お前にはこの障害物を避けつつ太刀を振るってもらう」
………はい⁇
『た、炭治郎……』
「あ、嗚呼……えっと、この括られている人達は何か罪を犯しましたか?」
いつもだったら笑ってしまうような炭治郎の火の玉ストレートな発言にも、今回ばかりは頷くしかなかった。
だって、だってさ⁉
訓練場に転がっていたのは打ち込み台に括られた隊士達。
全員が声が出せないように口に伊黒さんみたいに包帯を巻かれている。
その様を一言で言うならば処刑場。異論は認めん。
『伊黒さん、この人達に故郷でも焼かれたんですか?』
「そんなわけあるか。そうだな……弱い罪、覚えない罪、手間を取らせる罪、イラつかせる罪という所だ」
え、えらいこっちゃ……
現代だったら完全犯罪が成立してるレベルじゃんね。
そんな圧倒的トラウマを植え付けられ、炭治郎の訓練は開始された。
ここでの私の仕事は主にこの可哀想な隊士達の手当てになるそうな。
それもそのはず、使うのが木刀だとしても鬼殺隊士、それも炭治郎の太刀が当たれば大怪我するのは当然だからね。
しかもこの隊士達の間を縫って伊黒さんの攻撃が来るんだからたまったもんじゃない。
……なるほど、十番目の地獄か。
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天弥(プロフ) - 紅鮭@さぶさん» 有難う御座います!! (2022年6月7日 23時) (レス) id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@さぶ(プロフ) - 天弥さん» お返事遅れちゃってごめんなさい!もちろんですよ〜!!お友達申請しておきますね٩(ˊᗜˋ*)و (2022年6月7日 22時) (レス) @page6 id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
天弥(プロフ) - 今231話までを見て思ったことを言います。………主様、知り合いになって頂けませんか?((( (2022年6月6日 11時) (レス) @page6 id: 6363332534 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 人には塩対応されるけど鬼には愛され(笑)る系女子、それが零藤ですので!これからも霹靂一閃並のスピードで進んで行きますのでよろしくです(´∀`*) (2021年7月25日 6時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 数年ぶりにあった初孫…じわじわきました(笑)黒死牟さんがお祖父ちゃんなら、上弦の三と二は親戚の叔父さんとか従兄弟とかですかねぇ。展開にワクワクしてきました。続きが気になりますっ!…というか不死川さんって…… (2021年7月24日 13時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
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