人には愛されたいけど鬼には愛されたくなかった。/陸【鬼滅の刃】

２２６話＊もしも、あなたが ページ1

その空間を例えるならば漆黒の闇、
この一言に尽きる。






気づけば私───AAはその中に立ち竦んでいた。
いや何でだよ。


私の記憶が正しければ、私は確か蜜璃ちゃん宅のオフトゥンで眠りについたハズなんだけど……あ、これ夢かな。


夢にしてもなかなか不思議な夢だ。本当に何処だ、ここは。


目の前に広がるのは天もなく地もない、ただひたすらに昏い昏い空間。

多分この世界に来る前の自分なら声が枯れるレベルで悲鳴を上げていただろうけど、もう最近は恐ろしいことがありすぎて、暗闇に対する恐怖心など失くしてしまった。


本当に無一郎に言われた通り、情緒が死んでいってる気がして不快だ。



そういえば、最近何かあるたびに不思議な夢をよく見るけど、これもその類いなのかな。
小鉄君が言っていた“記憶の遺伝”ってやつにも何か関係があるのかもしれない。





「あなた……」
『ッ⁉』



不意に女の子の声が聞こえた。
その声は耳元で囁かれたような気もするし、遠くから聞こえてきたような気もした。

振り返っても誰もいないし、聞き覚えがあるような無いような……微妙な感じだったし、言いたいことは星の数の二恒河沙倍ほどあるけど、真っ先に頭に浮かんだのは“不気味”の三文字。



兄ちゃんそっくりな人の夢を見るわ、幻覚も見るわ……とうとう私は本当に運命の女神に見放されたのだろうか。

……今、「この世界に来た時点でとっくに見放されてるだろ」とか思ったやつ、後で校舎裏来なさい。




そんな一人芝居をしている間にも、声はどんどんはっきりと聞き取りやすくなっていく。
は？そんな音質補正機能とか求めてないんだけど⁇(全ギレ)





「……あなたのためならば……」




何この子、新手のヤンデレか何か？


蜜璃ちゃんよりも少し低く、カナヲよりもいくらか大人びた声。

こんな声して清姫を超えるヤンデレ女子とかマジで笑えねぇぞおい。





「もしも、あなたが星となるなら……わたしはそれを映す天となりましょう……」
『うん怖い怖い怖い』




ハァ⁈ 何この子こっっっわ!!!!
つーかこういう歌詞の中サンホラにあった気がする!!!(現実逃避)

てかこの子、本当に何なの？その“あなた”に依存してるの？それとも崇拝してるの？
怖いんでやめてください切実に!!!

２２７話＊厨二癖ぇ〜〜〜→

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