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今、わざと…?


しゃがんた状態のまま硬直した私は、そんな被害妄想が頭を駆け巡った


「(…ううん、そんな訳ないじゃん。ネガティブな事ばっか考えるな)」

私は立ち上がって、今度は少女に向かって手を差し出した



「えっ、と…私はA・ボネセットと申します

貴方は…新しいバイトの方でしょうか?」


一陣の風が吹き抜ける

少女の私服だろう丈の短いスカートが揺れた





「……今、ゴミ運んでましたよね?」

「へ?」


暫しの間

ようやく彼女の口から出た言葉は突拍子のないことだった




「え、と…はい。今ゴミを捨てに行くところで…


あ!だから何があったか知らないけど仕事増やされちゃこま「普通」」


言葉を少し語気を強めた声で遮られる

少女がグリムを触りながら目も合わせず続けた




「ゴミ触ってた手で他人に触るとか、ありえないんですけど」

「あ……」


私は、おず…と差し出した手を引っ込める



「ごめんなさい…私ったら気が利かなくて…」


確かに彼女の言う通りだ

見知らぬ他人の、ゴミ袋を触った手なんて誰だって嫌だろう




「…じゃあ握手はまた今度で!

改めてお名前聞いてもいいですか?」

「ユウです」

「ユウちゃん…珍しいお名前ですね!でもどこか可愛い響きで…」

「……」

「…え、とー…、歳の近い女の子なんて嬉しいなー、あはは…」

「……」

「……」




あれ、会話が続かない

同年代の女の子とお話なんて初めてだから、何を話せばいいのかも分からなかった


グリムくんも一緒にいた男の子も困った様に目を動かしている

空気を悪くしてしまって申し訳なかった



「こいつらは雑用係!

昨日入学式に乱入してきた奴らなんだけど、アンタは聞いてない?」


気を遣って話題を提供してくれた男の子

ありがとう…!の気持ちを瞳に浮かべて、私は口を開いた



「あ、噂には聞いてます。ユウちゃんが入学式に現れた女の子だったんですね」

どこからか来たのか知らないけど、年齢的に学校に通っててもおかしくない年頃だ


でもここは男子校

私もユウちゃんも女だから生徒として通うのは難しい



「あ!名前聞いてませんでしたね。貴方は「学園長に怒られちゃったのエースのせいだからね!」」

「はぁ!?元はと言えばこの狸が!」


…そっかぁ、エースくんって言うんだ

ぽつんと置いてかれたような疎外感の中、ポケットの中のスマホがなった




___小鬼ちゃん、ち・こ・く♡


世知辛い世の中だよ、まったく

*→←*



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くらげ - 待って、、、ロスカゲートじゃない、、、、、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!! (12月3日 10時) (レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - "深淵の君"ってえ!?王子様がくるその日までのロスカゲートちゃん!!??いろんな世界線ある!?やべぇ!!!これからも応援してます!!!! (12月3日 10時) (レス) @page31 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
- 天才か 夜中に見て感傷に浸ってる (2023年1月10日 2時) (レス) @page50 id: af6608e558 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - ぷりんせす わんこ見たいです🥺 パスワード教えて欲しいです…作者様の作品が全部良すぎてお気に入りです。 (2022年12月19日 19時) (レス) id: ace6ee2d95 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ぷりんせすわんこ見たいです...🥺パスワード教えてほしいです...作者様の作品全部が神すぎて..... (2022年12月4日 15時) (レス) @page50 id: b8f7239a75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年10月12日 15時

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