【ツイステ】亡き王女の為のアスター

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セレモニー当日

その日は貴人が集まるということで生徒は式典服に袖を通し、特別な一日に浮かれていた



「監督生その服どうしたんだよ、んなの持ってたっけ？」

「臨時収入があってさぁ。おかげで可愛いの買えた」

「バイト始めたのか？」

「いやぁ？ただモノを売っただけ」



煌びやかな装い

華やかな装飾


もうすぐ始まるパーティーに皆が胸を弾ませている

そんな賑やかな空気を影から支えるべく私はいつも通り奔走していた


「こっちも運んでー！」

「はい！」


厨房はいつも以上に慌ただしい

料理をパーティー会場の大広間へと運ぶべく私は足を動かした





「あ、ヴィルくん…」

「……」



途中、あれ以来話していなかった彼とすれ違った

けれど言葉を交わすことなく、私達は他人のように通り過ぎる


二人の心の距離は確実に広がっていた






「…よっし、頑張れ私！」


自分の頬を叩いて、くよくよした気持ちを叱咤する

悩む暇なんてないんだから！



会場に向かう人波に乗ってゴロゴロとワゴンを押す


立食パーティーに浮き足立つ生徒たちが、運ばれる料理を見て目を光らせるのが可笑しくて笑った









大広間は既に宴が始まったかのような賑わいだった



私は指定の位置に一つ一つ料理を置いていく

人気メニューが直ぐに取られてくのはいつも通りだ





料理を置く片手間、私はちらりと会場を盗み見る



料理に舌鼓を打つ者


人脈作りに奔走する者


貴重な女子との出会いに鼻下を伸ばす者




あ、レオナくん。ちゃんと挨拶回りやってる


遠くの方ではヴィルくんがカメラに向かって話してる。撮影だろうか






「(あ…総長もいる)」


いつも通りの黒色のドレス。クラウンティアラ

漆黒のベールで覆った顔は今、別の人間たちへと向けられている



「(総長も挨拶回りかな…忙しそう)」


確か今話してる相手は…



私が目線を総長の話し相手へとずらした






その瞬間









バチッ







「あ…」


それはまるで音がしそうな程の視線の交差

私は総長の話し相手の一人とバッチリ目が合ってしまっていた

思わず声が漏れる



何だか気不味くて、私は退散しようと踵を返した







しかし








「待って！ねぇ待って！！」


美しい声が私を呼び止めた





「あぁっ、あぁ…！貴方やっぱり！」

「え…」


目を見開く






視線が合ったその人＿＿＿第18代ガーランド王アルフレッドの正妃アリア



彼女が私を見て瞳に涙を浮かべていた

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